憂鬱の妙薬とはこの私!

作品集: 最新 投稿日時: 2010/03/20 23:58:38 更新日時: 2010/04/07 03:02:08 評価: 11/11 POINT: 67 SPPOINT: 57 Rate: 1.53
 少女が走っていました。

 女に開花する前の初々しい身体を惜しげもなくさらして、つまるところ少女はすっぽんぽんで走っているのでした。身長も低く、髪も軽くウェーブのかかったブロンドなので、まさに舶来のお人形さんのようです。いえ、まさにお人形さんそのものと表現する方が正しいのでしょうか。

 妖怪メディスン・メランコリーは、鈴蘭が広がる丘に捨てられた人形が鈴蘭の毒を溜め込んだ結果、誕生したのですから。



「お風呂いやーっ!」

「待ちなさーい!」



 メディスンを追いかける少女は対照的に、丸みを帯びた女の四肢をバスタオルで隠しながら走っていました。しかし、その魅力を隠す努力が報われることはなく、一歩足を踏み出すごとに大人の香りがまき散らされます。

 こちらは様々な事情を抱えて地球へ降りてきた月の兎、鈴仙・優曇華院・イナバです。

 二人は水滴を飛び散らせながら永遠亭の廊下を走り回り、珍しい来訪者たちの目を楽しませていました。そうでない者もいるようですが。



「絶景かな、絶景かな〜」

「な……なんであんなに胸が揺れるんだよぉっ!?」



 それなりの双子山を持つメルランは口元をほころばせて、限りなく地平線に近い何かを持つリリカは魂の絶叫を絞り出して、人形と兎が織り成す幻想的な光景に見入っていました。

 真面目で、次女と三女を足して二で割ったほどよい起伏を持つルナサは、追いかけっこにほんの少し目をやっただけで、すぐにプリズムリバー三姉妹を永遠亭へ呼んだ張本人へと視線を戻しました。



「今日、私たちを呼んだのは音楽療法のためですか?」

「ええと、ちょっと違うのよね」



 天才薬師、八意永琳は困ったように首を振りました。三つ編みにされた銀髪がゆっくりと揺れます。



「病人に音楽を聴かせたいのではないのよ。あの子……メディスンが聴きたがったから、あなたたちプリズムリバー楽団に永遠亭へお越しいただいたの」

「メディスン、さっき逃げていた女の子ですね」

「お客さんに会うからお風呂くらい入りなさいと言いつけのだけど、あの子はお風呂が大の苦手で。会ったことは?」

「私はありませんが、たしか……花が大量に咲いた異変のとき、妹が弾幕ごっこをしたと言っていました」



 ルナサは再び部屋の外へと視線を移しました。障子が開けられているので、廊下の喧騒とそれを見物している妹二人がよく見えます。



「捕まえた!」

「いやーっ!」

「谷間があんなにできてるーっ!」



 鈴仙がようやくメディスンを抱え上げ、追いかけっこに終止符が打たれました。大声で泣き叫んでいるディスンは風呂場へ、これまた大声を上げているリリカはメルランに耳をつかまれて部屋の中へと連行されていきます。



「妹が迷惑をかけて申し訳ありません」

「こちらこそ、音楽を聴きたがっている本人があんな状態でごめんなさいね」



 持たざる者の悲しみを訴え続ける妹を叱ると、ルナサは頭を下げました。永琳も詫びを言い、廊下の奥へと消えていくメディスンを微笑と共に見送りました。永琳の微笑みは、わがままな子供をいさめるような、それはそれは優しげなものでした。



「メディスンはつい最近、人形から妖怪へ生まれ変わったばかりなの。だから、まだまだ世間知らずでね。今は世界を知る勉強の真っ最中よ。永遠亭へ来るようになったのもコミュニケーションをとる勉強のためらしいわ」

「音楽もその一環であると?」

「ええ。何でも、心を豊かにするためだそうよ」

「光栄ですね。初めて聴く音楽を演奏させてもらえるとは」

「ねえねえ、あの可愛い妖怪さんの名前は?」



 メルランが興奮気味に二人の会話へ割り込んできました。ルナサ同様、メルランも面識がないか、あるいは忘れてしまったかのどちらかのようです。



「メディスン。メディスン・メランコリーよ」

「あら、私みたいな名前じゃない」



 名前が音となって心地よく耳を叩くと、メルランは手を打って顔を輝かせました。



「そうかな? メランコリーは憂鬱って意味じゃん。ルナ姉の音のことじゃないの?」



 むくれていたリリカが不思議そうに聞きました。ルナサは気分を沈ませる音を操るので、憂鬱ならばまずそちらの方を連想してしまうのです。

 メルランは首をかしげる妹の頭に手を乗せると、楽しげに毒を操る小さな妖怪の名前を呼びました。



「メディスン・メランコリー、“憂鬱の妙薬”よ。それって、みんなを陽気にする私のことでしょ!」





















 屋敷の中でもひときわ大きい部屋に通されたプリズムリバー楽団はメディスンと永遠亭の面々、そして大勢の兎たちを前にしていました。三人の後ろには音を反響させるための屏風が置かれ、演奏の準備は完璧です。



「お願いします」



 ペコリ、とおじぎをしたメディスンの表情と声は硬く、やはりお人形さんのようです。



「よろしくね」



 メディスンの緊張を解きほぐすように、彼女をいたく気に入ったメルランが進み出て笑いかけます。



「そんなに緊張してると音が逃げちゃうわよ。もっとリラックスしてちょうだい。私たちも明るくて楽しい音楽を演奏するから、ね」

「はいっ!」



 乾かしたての髪と赤いリボンを揺らして返事をしたものの、固まっているメディスンはリラックスとはほど遠い状態です。世間を知ろうという心がけは良いのですが、いささか肩に力を入れすぎのようです。

 メルランは少しだけリリカっぽく笑うと、“手足を使わずに楽器を演奏する程度の能力”を使いました。メディスンの背後で軽く吹かれたチューバはおならの音そっくり。メディスンは飛び上がって顔を赤くしました。



「わっ、私おならなんかしてない!」

「分かってるわ。これで肩の力が抜けたかしら?」

「へ……?」

「ふふっ」



 ぽかんとするメディスンをそのままにして、メルランは元の場所へ戻っていきました。



「さあ、始めましょう」

「ああ」

「うーい」



 三女のリリカだけ、気乗りのしない返事をしました。先ほど豊かな胸を散々見せつけられげんなりした上、メディスンには弾幕ごっこのときに毒で攻撃された印象しかないからです。ついでに、ノリノリのメルランが選曲を主導した結果、管楽器がメインの曲ばかりになってしまい、ピアノ中心のリリカが目立たなくなってしまったこともあります。

 それでも、うじうじしているのは演奏開始前まで。メルランがクラリネットを持って一歩進み出れば、たちまち三人の顔が引き締まります。



「本日はプリズムリバー楽団をお招きいただき、真にありがとうございます。短い時間ですが、私たちの音楽をたっぷり楽しんでいってくださいね。私は管楽器担当のメルラン!」

「弦楽器担当のルナサ」

「ピアノから大砲の音まで、何でも屋のリリカ。よろしくっ!」

「まず最初の曲は私たちそのもの、“エンターテイナー”から〜」



 始まりはリリカのノリの良いピアノから。元々はピアノのための曲なのですが、すぐにメルランのクラリネットが加わり、ピッコロ、トランペット、チューバと軽やかなリズムに乗って色鮮やかな管楽器が花開いていきます。ルナサのマンドリンも時折混じりますが、とにかく楽しさ第一。聴いているだけで勝手にリズムを刻んでしまう陽気な曲です。

 リリカが楽しげにピアノを弾けば、それにつられて兎たちの耳がピコピコと動きます。大人びた鈴仙でさえ動かしているのですから。



「地球の音楽も良いわね。月のものとは一味違うわ」

「ええ、本当に」



 輝夜が永琳にささやいている内にいつまでも続くかと思われた陽気な“エンターテイナー”が終わってしまいました。しかし、息継ぐ間もなく新たな曲のスタートです。



「お次はここ、永遠亭に敬意を表して“シンデレラケージ”〜」



 これまたピアノで始まり、その後からトランペットが暴れまわる素敵な曲です。わらべ歌である“かごめかごめ”のリズムが入るこの“シンデレラケージ”は、お姫様が入った籠という曲名の通り、輝夜姫を守る永遠亭にぴったりの曲と言えるでしょう。



「かごめかごめ 籠の中の姫は いついつ出やる」



 兎の中にはつい歌詞を口ずさんでしまう者もいて、その兎は口ずさんでから慌てて輝夜を見ましたが、歌われた本人は嬉しそうに笑顔を返しただけでした。隣の従者からは得体の知れぬ笑顔が送られてきましたが。

 しかし、おおむね楽しげな永遠亭の住人たちとは違い、メディスンだけはうっすらと汗が光る額にしわを寄せ、唸るようにして演奏を聴いていました。メルランはチラリとメディスンを見てトランペットから口を離し、次の曲名を宣言します。



「次はトランペットのための曲、“ラッパ吹きの休日”。 みんなハッピーにな〜あれ!」



 メルランの魔法の呪文と共に、軽快な音が部屋の中を飛び回ります。騒霊トランペッターの本領発揮です。



「前から思ってたんだけどさ」

「ん?」



 “ラッパ吹きの休日”にはピアノの出番がないので、さらに目立たなくなっているリリカがヴァイオリンを弾いていたルナサに声をかけました。メルランは我を忘れて演奏を楽しんでいるので、声をかけても耳に届かないと思ったのでしょう。



「休日とか名前にあるくせに、トランペットがとんでもなく忙しい曲じゃん。“ラッパ吹きの休日出勤”に変えた方がいいよ」

「休みの日みたいにのびのびと自由に吹きなさい、という意味だと私は解釈している。言葉をそのまま受け取らず、しっかりと意味を……」

「メディスン!?」



 トランペットの音の合間に、畳の上に何かが倒れる音が小さく響き、半瞬遅れて鈴仙の悲鳴が演奏をかき消しました。

 声の上がった方向を向いたプリズムリバー三姉妹は驚いて演奏を止めました。メディスンが青白い顔に大粒の汗を浮かべて倒れていたのです。





















 ライブは急遽中止となり、倒れたメディスンは病室へと運び込まれました。永遠亭にはベッドを備えた病室もありますが、メディスンが運ばれたのは普通の和室に布団をしいただけの部屋です。そこで薬師でありながら医療行為もこなす永琳が、関係者の見守る中で診察を行いました。



「ただの風邪よ」



 聴診器を外した永琳が診断結果を発表すると、プリズムリバー三姉妹や鈴仙から安堵のため息が漏れました。総じて人間よりも身体が強い妖怪が倒れることなどめったにありません。それだけに、演奏を聴いていただけで倒れたメディスンが心配だったのです。



「あれだけ裸で走り回っちゃったんだから、少し身体が冷えたのかな」

「原因はそれだけではないわ」



 おどけるリリカを永琳が静かにさえぎりました。



「妖怪は身体が頑丈な代わりに、精神的な攻撃に弱いということは周知の通りよ。メディスンの場合、身体が冷えて風邪をひきやすくなった後、精神のバランスを崩したことが引き金になったようね」

「それは、私たちの音楽を聴いたせい?」

「お風呂に入りなおしたから大丈夫だと……」



 メルランが口元を押さえました。ルナサとリリカも顔をこわばらせています。メルランは躁の音、ルナサは鬱の音、それぞれ精神に影響を与える音を操っているので、真面目な教師である上白沢慧音などから度々注意されていました。しかし、これまでのライブでは気分が高揚したり沈んだりする者は大勢いましたが、病気になって倒れた者はいませんでした。

 鈴仙も耳をしょんぼりさせてうつむいています。メディスンをお風呂に入れた者として責任を感じているのです。



「音楽のせいではないわ。あなたたちは音のプロ。悪意でも持たない限り精神は操らない、そうでしょ? 問題だったのは聴き方だと思うわ。音楽をどう受け取ったかは、目を覚ましてから聴くしかないけど、この子はずいぶん背伸びをして聴いていたみたいだから」



 永琳はメディスンの髪をいとおしそうに撫でました。メディスンがまだ力をうまく制御できなかった頃は、ゴム手袋をはめて触らないと毒を受ける危険があったのですが、最近では無意識の間でも毒を制御できるようになったのです。



「妖怪なんだから、時間はたっぷりあるのにね」



 永遠を生きる薬師は、苦しそうに胸を上下させる小さな妖怪に優しく語りかけました。それから、落ち込んでいる弟子の頭も撫でます。



「お風呂のことは今さら何を言っても遅いわ。しっかり看病をして、メディスンに元気になってもらうことがあなたにできる善行よ」

「はっ、はい!」



 某閻魔様の盗用した決めゼリフで慰められると、倒れていた鈴仙の耳が復活しました。どうもこの弟子は師匠にべったりのようです。

 鈴仙が耳を上下させていると彼女の熱意を感じ取ったのか、布団の中で寝ていたメディスンがうっすらと目を明けました。



「あ、起きた!」

「大丈夫?」

「体の具合は?」

「メディスン、ごめん!」



 すぐさま三姉妹と鈴仙が駆け寄ります。メディスンはしばらく天井をぼんやりと眺めていましたが、やがて自分を心配してくれる存在に気がつきました。

 しかし、メディスンが発したのは、明確な拒絶でした。



「来ないで!」

「みんな、逃げなさい!」



 メディスンの叫びに永琳の警告が重なったかと思うと、永琳が目にも留まらぬ速さで動き、メルランたちを跳ね飛ばしました。



「痛たた……」

「師匠! しっかりしてください!」



 メルランが身体を起こすと、メディスンの脇で永琳が倒れ、それを鈴仙が助け起こしているところでした。メディスンの顔には驚愕の色が張り付いていましたが、メルランと目が合うと急いで布団の中へ潜り込んでしまいました。



「師匠の脈がないー!」

「と、とにかく一時撤退だ!」



 ルナサの音頭で四人は永琳の死体を引きずりながら部屋の外へと避難しました。逃げる最中、メルランは後ろを振り返りましたが、布団は盛り上がったままでメディスンは出てこようとしませんでした。

 メディスンから離れてきっかり三分後、永琳が息を吹き返しました。



「師匠……良かった〜!」

「はいはい、私は大丈夫よ。それにしても、あの独特のしびれはテトロドトキシン、フグ毒ね。すごい濃度だったわ。あっという間に全身麻痺だもの」

「はぁ」



 永琳は泣いて抱きつく弟子をあやしながら、冷静に自分の死因を分析します。

 実は永琳にはフグ毒の研究と称してオーソドックスなフグ刺しから、美味であるとされる有毒の肝臓まで食べまくっては死ぬということを繰り返した過去があるのですが、それはまた別の話です。



「ああもう! 一体何なんだよ〜、あの毒人形は。急に倒れるわ、目が覚めたら毒を撒き散らすわで……」



 リリカが髪の毛をかきむしりながら叫びました。

 周囲ではガスマスクをつけた兎が慌しく行き来して、異様な空気を作り上げていました。その様子に目もくれずルナサは思考をめぐらせ、メルランもそれに参加します。



「目を覚ました直後に毒を出したようだったが、何が原因だったんだろうか」

「目の前には私たちがいて、そこから連想するとしたら……音楽?」

「つまり音楽を連想して嫌な気分になったと」

「もしかしたら、倒れちゃったのは音楽を聴いたせいだと思っているのかもしれないわ」

「なるほど、それならつじつまが合う」

「あー、てことは、メディスンに音楽に対する最悪の印象を植えつけちゃったってこと?」



 リリカが簡潔に結論を言うと、姉妹そろって大きなため息をつきました。自分たちの演奏で誰かを幸せにすることに誇りを持っている彼女たちにしてみれば、これほど悔しいことはありません。メディスンに音楽の楽しさを伝えて幸せにするどころか、不快な思いをさせてしまったのですから。

 まるでルナサの鬱の音が暴走してしまったかのように、三人とも暗い雰囲気に包まれていると、永琳が鈴仙を従えてやってきました。プリズムリバー楽団を代表してルナサが永琳の前に立ち、頭を下げました。



「ごめんなさい。私たちの音楽が原因でメディスンを傷つけてしまって」

「勘違いしているようだけど、誰もあなたたちが原因だと言ってないわ。真相はメディスンと話し合ってみないと分からないけど、些細なすれ違いのはずよ。誰も悪くないから、そんなに気を落とさないで」

「これからどうするの? 機会があるならリベンジしたいんだけど」



 ルナサに代わってリリカが飛びつくようにして永琳に質問しました。



「まずはメディスンを落ち着かせないと。毒はもう出してないと思うけど、念のため吹き矢で眠らせるわ」

「吹き矢?」



 何やら危なそうな単語が永琳の口から飛び出しました。当の永琳はいたって無害そうな笑顔のままです。



「鈴仙が波長をいじって気配を消し、対象に近づいて麻酔を塗った吹き矢で眠らせるの。手のつけられない患者さんが来たとき、たまにこの方法で対処するのよ」

「うわぁ、動物病院じゃないんだから……」



 天才の考えることはどこかずれている、そう思いながらリリカは一歩後ろへ引きました。



「あれをやるんですか? メディスンに?」

「元兵士にぴったりの役目だと思うけど」

「そりゃそうですけど……」

「ねえ、メディスンを落ち着かせる役を私にやらせてもらえないかしら?」



 永琳が嫌そうにしている鈴仙に詰め寄っていると、フルートのように透き通った声がその場にいた全員の耳をくすぐりました。

 メルランです。普段から陽気な彼女は、今も表情こそ微笑んでいますが、声はそこまでのんびりとしていませんでした。



「そうね……中途半端な覚悟で言っているなら止めた方がいいわ。さっき私が死んだから分かると思うけど、あの子の精神は未熟ですぐに能力が暴走してしまう。下手に近づいて刺激したら、私の仕事が増えるだけよ」



 もしくは死神と閻魔の仕事かも、と永琳が脅すように言いつつメルランを見下ろします。ですが、メルランも負けていません。永琳の奇妙な帽子よりも高く浮かび上がると、愛用のトランペットを出現させて軽く吹きました。

 トランペットから飛び出す軽やかな旋律は、聴いている者の口元を自然と緩ませます。それが、彼女の能力なのですから。



「中途半端な覚悟なのかは分からないわ。私は“憂鬱の妙薬”という名前に興味を持っているだけかもしれない。でも……」



 メルランはトランペットの複雑な構造を優しく撫でます。このグルグルこそが幸せの元だと彼女は言っていました。



「私が憂鬱になっている人を幸せにするのは、それが当たり前だと考えているからなの。理由や覚悟以前の問題よ。だって、私にはこんなにも素敵な力があるんだもの。使わなきゃ損じゃない!」



 我ながら恥ずかしいこと言ったなぁ、と頬を赤らめますが、胸を張ることは止めません。プリズムリバー三姉妹の中で最もボリュームのある胸が、永琳の鼻先で誇らしげに揺れました。

 永琳はメルランの胸ではなく顔を見ていましたが、すぐに肩をすくめて首を振りました。まるで、若いっていいわねぇ、と言わんばかりに。



「いいわ。ここは永遠亭、時間はいくらでもあるから何度でも挑戦してちょうだい。患者が三人ほど増えたところで私も文句を言わないから」

「ありがとう! それじゃあ、メディスンに飲ませる薬を用意しておいてね!」



 メルランは飛びっきりの笑顔を見せるやいなや、メディスンのいる病室へ飛んでいってしまいました。



「さて、薬師の出番ね。鈴仙、ついてきて」

「はいっ!」



 腕をまくった鈴仙と永琳は調剤室へと向かいます。



「患者が三人? それってメル姉とルナ姉と……鈴仙?」

「とぼけてないで行くぞ、リリカ」



 ルナサもリリカを引っ張って病室へ向かいます。ほんの少しだけ、妹の後を追うのが嬉しそうでした。



「幸せを知るには、不幸せとその調整役も必要なんだから。メルランだけに任せて置けないだろう」





















「まず私が話してみるわ。いざとなったらお願いね」

「気をつけて」

「危なくなったら逃げてよね。メル姉は楽観的なんだから」



 ルナサとリリカには少し離れた場所で待機してもらい、メルランだけが病室の前に立ちました。深呼吸をしてはやる気持ちを抑えてから、障子に向かって語りかけます。



「メディスン、大丈夫?」

「……メルランだっけ? 来ないでよ」



 やや間があってから、メディスンの可愛らしくも棘がたくさん生えた返事がありました。



「分かったわ。部屋には入らない。その代わり、外から話をさせてもらってもいいかしら?」

「勝手にすれば」



 リリカがすねたときと同じね、とメルランは微笑むと、障子を背にして床に腰を下ろしました。永遠亭の廊下は落ち着いた色の板張りで、心地よい冷たさが伝わってきます。

 これで第一段階は成功です。メディスンも起きたばかりのときより落ち着いているようでした。



「永琳は無事?」



 意外にもすぐに部屋の中から声がかかりました。自分の毒を受けた相手を心配したり、真面目に世間を知る勉強をしたりと、メディスンは妖怪にしては珍しいほど根が正直なのでしょう。メルランはますますメディスンのことを気に入ってしまいました。



「ぴんぴんしてる。それどころか、あと一億年くらい死にそうにないわ」

「良かった……あ、一応聞いただけだからね」

「はいはい」



 メルランが口を閉ざすと、障子を挟んだ二人に静寂が降りました。太陽のように明るいメルランは沈黙やら静寂やら、音がない状態があまり好きではありませんでしたが、今に限っては気になりませんでした。それどころか、快適であるとさえ感じていました。これも竹林にたたずむ永遠亭という不思議な空間だからでしょうか。

 目を閉じて耳を澄ましてみると、そこはもはや無音ではなくなりました。そわそわしているリリカの服がすれる音、遠くで兎が跳ねる音、庭でししおどしが鳴る音、思考が音であふれていきます。

 そして、そろりそろりと畳に足をつける音が障子を通して聴こえてきました。お人形さんが歩いているような小さな音がすぐ近くまで来たとき、唐突にメルランが口を開きました。



「一つ質問をしていいかしら?」

「きゃっ!?」



 押し殺した悲鳴と、誰かが転ぶ音がして障子が大きく揺れました。どうやら、今日のメルランはリリカのいたずら心に満ちた音に影響されているみたいです。間近になったメディスンの気配へクスクスと笑いかけました。



「いきなり声を出さないでよ!」

「ふふ、ごめんなさい。質問していい?」

「むう……いいよ」

「私たちの音楽はどうだった?」

「ん……」



 再び沈黙。今度の無音はあまり気持ち良くありません。



「分からなかった」

「分からない?」

「うん。作曲者がどんなことを考えて作曲したのか、演奏者が何をイメージして演奏したか、色々感じ取ろうとしたけど、考えれば考えるほど気持ち悪くなっちゃった。私が倒れたのも、きっと考えすぎたせい」

「えーっと……」



 メルランは返事をしようと口を開けかけ、そのまま停止してしまいました。この小さな育ち盛りの妖怪はいったいどれだけ背伸びをしているのでしょうか。本職の批評家でさえ難しいことに挑戦したのですから。

 メルランの沈黙を非難によるものと解釈したのか、メディスンが慌てて言葉をつなぎました。



「目が覚めたとき、演奏してくれたみんなの顔があって、気持ち悪くなった瞬間を思い出しちゃったの。それで、気がついたら永琳が倒れてて、私どうしたらいいのか分からなくなって……ごめん、なさい」



 話が進むにつれて声は弱々しくなっていき、最後は鼻をすする音が混ざっていました。メルランは障子越しに震えるメディスンを感じ、ゆっくりと息を吐き出しました。ここは、長く生きた者の勤めとして、後輩の相談に乗ってあげる必要がありそうです。



「メディスン、あなたは大人の階段を一歩飛ばしで駆け上がろうとしているけど、どうしてそこまで急ぐのかしら? 人間と違って、あなたには時間がたくさんあるのに」

「私には……私には人形の地位向上という夢があるの。世界中で虐げられている人形たちのためにも、少しでも早く力をつけて人間に勝たなきゃいけないのよ」

「それは、壮大な夢ね。でも、音楽家としては嬉しいんだけど、音楽を聴くと力がついて人間に勝てる、となぜ思ったの?」

「閻魔が豊かな心を養えば人間を超えられる、って言ってたんだもん。音楽は、永遠亭で読んだ本に心を豊かにするって書いてあったから」



 ああもう、何て可愛いのよ! と思わずつぶやいてメルランは目を閉じました。



「メディスン!」

「わひゃあ!?」



 そして、我に返るとメルランは病室に突入してメディスンを抱きしめていました。お人形サイズのとても可愛い妖怪を。



「あなたは真面目すぎるわよ。口うるさい閻魔の説教まで素直に聞くなんて、もう可愛すぎ」

「ちょ、ちょっと、離してよ! こんなことされると……は、恥ずかしいんだから」



 幸いなことにメディスンの努力によって、抱きついたメルランは毒を受けることはありませんでした。それをいいことにメルランは遠慮なく愛撫を続けまくり、時間に比例してメディスンの顔は真っ赤になっていきました。

 ひとしきり愛情表現をすると、メルランは自分の持つ二つの能力を両方とも発動させました。もちろん、抱きついたままです。



「頑張り屋さんのメディスンに、メルランお姉さんが直々に音楽の楽しみ方を教えてあげる」

「これから!? 心の準備が……ふひゃっ」



 わたわたするメディスンに追い討ちをかけるように両頬を軽くつまみます。



「難しいことを考えるのは禁止。頭の中を空っぽにして、肩の力を全部抜いてから聴いて」



 両頬をつまんだまま、メディスンと目線を合わせて言い聞かせます。メルランの気迫に驚いたのか、メディスンは素直にコクリとうなずきました。

 それを確認すると、メルランは能力を最大まで引き出しました。先ほどから演奏されているのは“幽霊楽団”。部屋の外でもルナサとリリカが演奏を始め、ヴァイオリン、トランペット、ピアノと三姉妹を象徴する楽器の音が一つに混ざり合っていきます。

 病室の中で音が渦を巻くようにして踊るようになると、メディスンは見開いていた目を少しずつ閉じていきました。まるで、母親に抱かれて安心した赤ん坊のように、です。



「いい子……」



 メルランは可愛いお人形さんを優しく抱きしめると、音の渦をフィナーレへと導いていきます。“幽霊楽団”はプリズムリバー楽団のための曲であり、非常にノリがよい曲として有名なのですが、今はそれに加えて心を安心させる何かが楽器から生み出されていました。



「どうだった?」



 音の渦が静かに消え去ると、メルランがささやきかけました。まぶたを開けたメディスンは一瞬だけ迷った後、感じたことをそのまま話すことにしました。



「メルランや他の二人に抱っこされてるみたいで気持ち良かったよ。それ以外のことは分からなかった……」

「上出来よ。難しく考えなくてはだめ。送られてきたものを受け取る、最初はそれだけでいいの。受け取ったものでハッピーになるなら聴き続けて、不快になるようだったら聴くのを止めてもかまわないわ」

「それでいいの?」

「いいのよ。難しいことを考えるのは、慣れた後でも遅くないから。お願いだから、音楽を楽しむ前に音楽を嫌いにならないでね」

「うん」



 よくでました、と元気に返事をしたメディスンの頭を撫でると、メルランはまた抱きつきました。メディスンも幸せそうにメルランの背中に手を回します。

 再び心地の良い静寂が病室に降り立ちました。二人はそれを満喫していましたが、第三者の一声で幸せな時間は中断となります。



「お取り込み中失礼するけど、お薬の時間よ」



 二人が振り向くと、ニヤニヤと微笑んでいる永琳が障子を開けて立っていました。彼女の背後霊のようにルナサやリリカ、鈴仙までくっついています。

 小さな悲鳴を上げてメディスンがメルランから離れようとしますが、絡みついた両腕はなかなか離れません。



「メディスンを解放してあげて。薬を飲ませられないから」

「むう〜」

「ほら、早くしなさい」



 メルランは名残惜しむように時間をかけて拘束を解き、永琳の前にメディスンを立たせます。恥ずかしそうに顔を押さえていたメディスンは永琳を見て、慌てて頭を下げました。



「ごめんね、毒を出しちゃって」

「ふふん、あなたが全快するまで許さないんだから。身体の調子は?」

「ん〜、何だか楽になってる。さっきまで苦しかったのに、変なの」

「妖怪の風邪なんてそんなものよ。精神が安定したらすぐ良くなるわ。はい、飲んで」



 鈴仙が持っていた盆からカップを一つ差し出しました。カップの中身は乳白色よりも黄色がかった液体です。恐る恐る舌で舐めてみると、口の中に濃厚な卵の味が広がりました。ほんのちょっと遅れてアルコールも優しく喉を撫でました。



「あ、おいしい〜」

「何それ?」

「卵酒。慰労代にあなたたちもどうぞ」



 メディスンのカップをのぞき込んだメルランにもカップが渡されました。ルナサとリリカ、鈴仙にも渡して、最後に永琳もカップを手に取ります。



「うわっ、家で作ったやつよりもおいしいじゃん!」

「あら、本当」

「……うまい」



 一口飲んでリリカが叫びました。メルランとルナサも永琳特製の卵酒に舌鼓を打ちます。



「卵を全部ではなくて、黄身だけ混ぜたの。この方がまろやかでおいしく作れるのよ。まあ、卵白には免疫力を高める効果があったりするんだけど、妖怪には卵白よりお酒を飲ませたほうがずっと効果的でしょ。どうせ飲むんだったらおいしい方がいいし」

「まさにその通りね〜」



 アルコールが入ったのか、普段より数割増し陽気になったメルランはぐいぐいとカップの中身を空けます。

 一方、メディスンはちびりちびりと飲んでいましたが、のんびりだったペースはカップが軽くなるにつれて、さらに遅くなっていきました。



「ふう……何だか眠くなっちゃった」



 適量のお酒は眠気を誘うものです。

 鈴仙にカップを返したメディスンは目をこすり、布団を求めて可愛らしくあくびをしました。



「風邪には睡眠が何よりも大切よ。メディスンだってまだ全快ではないんだから」



 永琳が医者らしく注意をしてから、メディスンの手をとって布団へといざないます。その後ろではメルランがルナサとリリカに合図を送り、メディスンのために演奏を始めました。



「プリズムリバー楽団による子守歌のサービスよ。いい子がすぐに眠れるためにね」

「これぞ至れり尽くせり。うらやまし〜」



 ふかふかの布団の中に入ったメディスンには、リリカのやきもちを焼く声は聞こえませんでした。代わりに聴こえてきたのは、メルランに抱きしめられるときのように気持ちのよいトランペットの音でした。残りの二人の音が混じっていくにつれて、メディスンのまぶたは静かに下りていきます。

 曲名はメルランにぴったりの“トランペット吹きの子守歌”。次にメディスンが目を覚ましたときには、風邪はすっかり良くなっているでしょう。
この作品を読んでいただき真にありがとうございます。



妖怪になったばかりのメディスンは妹ポジションが似合いそう、という妄想を広げてみました。メディスンって可愛らしいじゃないですか。
そして、今回のお題の一つは“音”。これはプリズムリバーに出てもらうしかありません。



>>絹さん
メディスンが幻想郷で生活している限り出会いは無限にあるはずですから、メルランと出会ってもおかしくない!と妄想してみます。
やや強引な訳ですが一応は憂鬱の妙薬となります。鈴蘭の毒が憂鬱に効くかは分かりませんが。

>>yuntaさん
メディスンの名前の元ネタとして“メランコリイの妙薬”という小説が揚げられていたので使ってみました。
敵に勝つにはまず敵を知ることから。永琳は毒の治療のためにフグを食べていたのでしょう。常識が抜けていたわけではない……はずです。

>>ワタシさん
柔らかく暖かみのある、いい乳。まさにメルランの胸のことですね。
うーむ。メディスンと鈴仙の入浴シーンも書くべきでしたかな。

>>じろーさん
やはり他のキャラクターとの接点が少ないメディスンは扱いが難しかったです。
接点がまったくないプリズムリバー三姉妹と絡ませてみましたが、うまくなじんだと感じていただけるなら幸いです。
冒頭はまあ出オチ的サービスシーンで始めてしまいましたが。
音楽の描写ではこの話でも重要なところになってくるので、音楽の描写不足は精進すべきですね。次回につなげていきたいと思います。

>>八重結界さん
メディスンは毒で距離をとろうとしますが、能天気なメルランはそんなこと気にせず突撃しちゃっています。
将来的にはメディスンも毒をしっかり操ることができるようになるといいですね。

>>ぶるりさん
本当にメディスンは可愛いですね。書いていてさらに好きになってしまいました。
もっとファンの方が増えるといいのですが…

>>静かな部屋さん
メディスン可愛いですよメディスン
吹き矢は動物のお医者さんに出てくる某教授のオマージュだったりします。
「きみ」はほとんど添えるだけですよね…次回はもっと改善したいと思います。

>>飛び入り魚さん
マイナーキャラが多めですがみんな可愛いですよ、もう。
音の楽しみ方は人それぞれですからね。プリズムリバー三姉妹もそれぞれ違った考えを持っていると思います。
お粗末さまでした。

>>時計屋さん
メルランはどうにかなるさ〜と笑う陽気な姉ちゃんって感じですね。でも、ルナサの方がしっかりしているかも。
メルラン(大)ルナサ(中)リリカ(大いなる地平線)とされることが多いみたいです。

>>K.Mさん
演奏する側も何も考えない方がいい演奏ができるみたいですよ。
今日、我々が美味しくフグを食べられるのは永琳の尊い犠牲があったからなのです……たぶん。

>>Ministery
メディスンは可愛いですよ〜
マイナーキャラにしておくのは惜しいです。ぜひともメディスンを愛でる輪を広げていくべきですね。
文鎮
作品情報
作品集:
最新
投稿日時:
2010/03/20 23:58:38
更新日時:
2010/04/07 03:02:08
評価:
11/11
POINT:
67
SPPOINT:
57
Rate:
1.53
1. 通常ポイント6点 お題ポイント5 ■2010/03/21 06:54:40
こんなカップリングもあったのか。と驚いてばっかりです。
まぁ確かに、メディスン・メランコリーって憂鬱の薬ですね。少しメディスンへの印象を改めました。
2. 通常ポイント8点 お題ポイント8 yunta ■2010/03/21 17:43:29
執筆お疲れ様でした。メディスンの名前を憂鬱の妙薬と捉えるのは上手いですね!
話全体もお題に沿っていて、メディスンと三姉妹の関係性も面白かったです。永琳死亡には少し笑ってしまいました。流石、彼女は死に方に詳しいですね。
3. 通常ポイント6点 お題ポイント6 ワタシ ■2010/03/28 02:56:55
柔らかく暖かみのある、いい話でした。
惜しむらくはサービスシーンがもっとあれば…いやいや。
4. 通常ポイント5点 お題ポイント4 じろー ■2010/03/28 12:23:44
メディとメルランの絡みは新鮮でした。メディの扱いは結構難しいので、他のキャラとの絡みは少ないので。
ただその分、違和感を覚えるのは否めませんでしたが、最後には丸く収まって安心しています。
冒頭部分でいかに自然に絡ませるのかが問題ですよね。自分も思いつきませんが、どうやったらあまり関連ないキャラをくっつけても不自然にならないかなぁとはいつも思っています。

音楽の描写はもっと詳しく絵本みたいな観賞が少し欲しいと思いました。語り口調も柔らかなので、優しい情景を見てみたかったと思います。
5. 通常ポイント4点 お題ポイント4 八重結界 ■2010/04/02 17:26:19
ハリネズミのジレンマという言葉を思い出したり。
6. 通常ポイント4点 お題ポイント3 ぶるり ■2010/04/02 18:04:43
めでぃかわいい
7. 通常ポイント6点 お題ポイント4 静かな部屋 ■2010/04/02 21:07:08
【内容のこと】
 メディスンかわいいな。素直だし、ちっちゃいし。
 気配を消して近づけるのなら、「吹き矢」じゃなくてもいいじゃん。吹かなくてもいいじゃん。とか考えてしまう僕は、きっとひねくれてるんだろう。
【お題のこと】
 「くすり」と、「きみ」がちょっと軽いと感じました。
8. 通常ポイント8点 お題ポイント6 飛び入り魚 ■2010/04/02 21:33:04
 メディスンもメルランも、みんなみんなラブリー。
 考えるな、感じろ。自分の感覚を信じろ! という音楽への思いに共感。
 読んでて心地よい、全体的に丁寧な作りのSSでした。ご馳走様です。
9. 通常ポイント5点 お題ポイント4 時計屋 ■2010/04/02 22:58:57
メルランって確かにルナサよりお姉さんっぽい気がしますねえ。
……胸が大きく書かれることが多いのはそのせいだろうか。
優しい語り口調が印象的なSSでした。
10. 通常ポイント7点 お題ポイント6 K.M ■2010/04/02 23:20:11
頭空っぽの方が夢詰め込め……ゲフンゲフン。
それにしても永琳さん何してはるんですかw
11. 通常ポイント8点 お題ポイント7 Ministery ■2010/04/02 23:53:31
メディかわえええええええええええええええ!
GJと言わざるを得ない。
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