音というくすり

作品集: 最新 投稿日時: 2010/03/20 22:45:24 更新日時: 2010/03/20 22:45:24 評価: 10/10 POINT: 53 SPPOINT: 55 Rate: 1.42
 それは何の前触れもなく空から突然やってきた。
 そのときが来るまで、私たちプリズムリバー三姉妹は観客がいないにもかかわらず、各々が持つ楽器で個人の色を持った音を出していた。
 リリカの狂ったかのような指捌きが、メルランのありったけの息が、私のゆったりした弓使いが、これでもかと言わんばかりに音を出し、せめぎあうようで。
 およそ数時間にも渡る騒々しいのに物悲しいのか楽しいのか解らないライブも終わり、休憩を取っていたときのことである。
 何か遠くで風を切る音が聞こえる、とメルランが呟いたとき、それは私やリリカの耳にも聞こえるほど大きくなって。
 私はそれが空――頭上の遥か上から聞こえるものだと解り、上を見上げた。そこには大きな黒い羽を広げ、片手に何かを持った妖怪がぐんぐんと近づいていた。
 ついにはずどん、と重々しい着地音を響かせて、三人の間に割って降り立った次第である。
 メルランと私はどうでもいいような出来事だと扱ったが、リリカは何が楽しいのか、おぉと驚き、拍手喝采でその妖怪を出迎えた。

「こんにちは。少々お邪魔かけますが、貴女がたがプリズムリバー三姉妹、でよろしかったですか?」

 にこにこと、愛想笑いのように表情を作る鴉天狗の少女が一羽。
 右手には紅葉を模した団扇、肩から提げているのは小さなポシェット、そして両足に真っ赤な下駄を履いた彼女はそう言った。
 口ぶりからして、私たちに用事があるみたいだけれど……大して興味を引く相手でもないので、私は黙ってバイオリンの調整を続けた。

「わわ。お姉ちゃんこれって新手のスカウト?」
「リリカー? そんなコトあったら嬉しいけれど、鴉ごときがそんなマネをするはずないでしょう」
「そっか、そうだねそうだよねー! 確かに私たちの近くにいればネタには困らないだろうし!」

 あっはは、と楽しそうに笑うリリカと、傍で微笑むメルランを見て、私は話を展開させるべく天狗に言う。

「……用件は?」
「あ、はい。実はインタビューでもなんでもないんですが」

 どうやらこの鴉天狗、本当に何の用事もなかったらしい。代わりに彼女は肩に提げたポシェットから一枚の紙を取り出した。
 三つ折りにされたそれは見るからに上質そうな紙で、差出人のどんな人物かが見えてきそうである。
 少しの間そんなちょっとした考えを広げ、私は黙って受け取った。やはり見た目どおり、手に取った感触もそこらへんの紙とは違って良いものである。
 しかし、大して重要なことでもなんでもないので、さっさと紙を開き、中に書いてある文に目を通す。
 そこにはとある病で苦しむ人間の少女と、その為に力を貸してほしい、と言う願いを込められた短い文章が綴ってあった。
 差出人の名前を見てさらに驚く……腕が立つと聞く、不老不死の医者からである。

「病、か。私たちには縁遠い言葉ね」
「ですが手紙に書いてある少女にすれば身近な言葉です」
「そうでしょう……でも、私たちが行って力になれる?」
「はい。そこのところは大丈夫なはずですよ」

 にやり、と天狗は笑う。紅葉の形をとった団扇の隙間から見える表情は、とても妖しく見えた。

「渇望症候群――生きる意味を見出せない人間たちが罹るこの病。とりわけ効くのが貴女がたが奏でる、様々な色を持った音楽らしいですよ?」




 ――渇望症候群。
 一種の精神病であり、主に人間が患う。だがそれでも大抵の人間は明確になる前に克服するらしい。
 何でも、なぜ自分が生きているのか、と言うへんぴな考えに答えを見出せなかったときに罹るとか。
 人間とはどうも困った生き物で、導き出せない答えを見つけると一生気にしてしまうのだと言う。
 その性格、もしくは奥底に宿った好奇心の果てが災いし、生きる意味を欲し、体が石のように硬くなっていくのだそうだ。つまり筋肉が硬直して言っているわけだから、呼吸困難の末に死亡、がこの渇望症候群に罹った者の末路らしい。
 とりあえず行きながら鴉天狗の説明を聞いていたが……やはり人間が罹る病気、とりわけ今回のものは妖怪側から考えたらなんとも理解しがたいものだ。
 何でそんなものに意味を求めてしまうのだろう。私たちはただ漠然と生きているだけだと言うのに。

「さ、さ。私の案内はここまで。後は玄関を入ったら兎さんが案内してくれますよ」
「ありがとう。三姉妹の長女として礼を言う」

 軽く礼をして、私は先を急ぐリリカたちの後を、ゆっくりと追った。
 幸い、もう一人の兎、短いスカートを穿いた長い耳の少女が患者の下まで案内してくれたので、迷うことなく部屋に辿り着けた。

「師匠。長女さんを連れてきました」
「ありだとう、うどんげ。貴女はお湯を持ってきて頂戴」
「はい」

 私をつれてきてくれたのにまた仕事が入るのか。傍目には元気そうに見えるが、若干の疲れを雰囲気で察することができる。
 労う意味も込めてありがとう、と一言告げると少女はにっこり笑って、その場を後にした。
 彼女が廊下の奥を曲がるのを見届け、ようやく部屋へと目を向けると……その中は散々たる有様だった。
 辺りに散らばる書物の数々は開いてあれば、無造作に置いてあったり積んであったりしている。
 薬剤を作る器具なども置いてあった。おそらくは即興で作る必要があったので用意したのだろう。しかしどれも規則性もなく散らばっているだけ。
 そして最も目を引いたのは、師匠と呼ばれた医者と布団に横たわる少女だった。
 二色で揃えた衣服を着た医者はどこかやつれているようにも見えて、本当は月のように綺麗であろう銀髪は、ぼさぼさになっている。
 布団に横たわる少女――この子が人間の患者だろう。息も荒く、目は開いておらず、むしろ無理矢理閉ざされているかのように私からは見えた。

「来てくれて、ありがとう」
「大丈夫ですか? 見たところ何日も眠ってないように見えますが」

 姉妹で一番他人に気を使えるメルランが、静かに正座をしている医者に言った。

「心配もしてくれてありがとう。でもあまり時間が無いの。自分の腕で治せないのは癪だけど……これしか手は無いわ」
「それが……私たちを呼んだ理由に?」
「えぇ、そうよ。渇望症候群――打破するには貴女たちそれぞれが持つ音がいる」

 そこから、医者の説明が始まった。
 渇望症候群が精神病である以上、薬を使った医療ではなくカウンセリングでなければ効果が無い。
 目に見える酷い怪我などは、メスを操って手術を。
 内側で猛威を振るう菌には、良薬を飲んで療養を。
 原因すら解らない精神病は、言葉を用いて地道に回復を目指さなくてはならない、と言うこと。
 だから渇望しているもの、つまり欠けているものを満たせば症状は良い方向に向かっていく。

「彼女が欲しているもの。それは――命」
「……私たちに死ねって?」

 リリカ。冗談でも笑えないし、私たちはもう死んでる。

「違うの。そうじゃない。彼女に命と言うものを教えてあげればいいの。……理由を探っていくとご両親が関係していてね――うん。暴力、かしら?
 一人の娘でも、人間でも、少女としてでもない、数や物としてしか長い間扱われなかったその反動がこの症状として現れた、と言うしかないわね」
「命、ですか……なら私たちじゃなくても適任はいるでしょう」

 私は冷静に言葉を返す。よくよく考えてみれば適任者はそこら中にいるのだから。
 例えば人里で教師を務める半妖の教師。彼女ならば舌先三寸口八丁の話術を持って、少女に命を教えるだろう。
 例えば船にいる変な巻物を携えたある女性。彼女ならばいかにもな、鹿爪らしく命について解き明かすだろう。
 つまり私たちなんて奥の手にもならない手段なのだ。メスにも良薬にもなりやしない。
 ヴァイオリンとトランペットとキーボードを持った、騒がしいだけの騒霊。それが私たちの代名詞であり、役目でもある。

「そうね。でもこれ以上にない適任だと私は思ってるわ」

 医者は言う。彼女には言葉は聞こえていても、心には届いていない、と。

「この子は心を閉ざしてしまった……わけではないの。ただ人間の言葉を、そもそも言葉自体を信用できなくなってしまったようなの」
「人間が言葉を受け入れられなくなったら終わりでしょう。コミュニケートもあったものじゃないし」
「そうね。それ以前に病状が精神病である以上、カウンセリングになるわけだけどそれも通用しないのは明白。
 言葉を使わないカウンセリングなんて私には出来ないわ。第一、私の専門はこんなややこしいものじゃないもの」

 はぁ、とため息を一つ零して、少女の額ににじみ出た汗をふき取る。
 見ると少女は私が最初に見たときより顔が引きつり、よりつらそうな表情をしていた。
 渇望症候群の魔の手が――この子を襲っているのだろう。たまに痙攣を起こしては治まったりの繰り返しが見られる。

「でも誰もが抗えない、心の底から感動を受けざるを得ないものすら、この世の中にはある」
「そんなのってあるの? 私ってばずっとお姉ちゃんたちとの演奏しかやってきてないから解んない」
「ふふ。そうでしょうね。だってそれは人間がいつも、遥か昔に子守唄にしていたものだから。
 子宮の中で育ち、母親の愛情を一身に受けながら初めて聞く偉大なる音は――心臓の鼓動と言う、生命の力強さを底なしに表現したものだから」

 そこで医者の目つきが一瞬で変わった。
 先ほどまでの疲弊しきった表情からでは考えもつかない、刃を思わせる鋭い視線が、私に向けられて。

「貴女たちの音楽がそれをそっくりそのまま出来るとは思ってない。だけどそれに近いものを表現できると信じてる
 だからこの子を救う為にも、助ける為にも――お願い。彼女の為に騒々たる壮大な、生命への喜びと歓喜の音楽を奏でて頂戴」

 医者の言葉に、私たちは頷かない。ただそれでも心の内側で自然と体に命令をしていた。
 リリカはキーボードに指をそえ、メルランはトランペットに口をあてがい、私は肩と顎でヴァイオリンを挟む。
 私たちは音楽家ではない。根っからの演奏者なんだ。誰かに頼まれて弾かないわけが、演奏をしないわけがない。
 最初は静かな――静寂を破る、ヴァイオリンの消え入りそうな高い音から。それに続いて、支えるようにトランペットが彩る。
 リリカのキーボードはこの二つを包むようにずっしりと重く、部屋中を支配していた。
 しかし、それもつかの間。何度も言うが私たちは演奏者――個々人に味がある、そしてそれが嫌でも出てしまう。
 リリカの元気が、メルランの陽気さが、私の陰湿さが場の音楽を各々の色に染めては歪める。気づけば私たちは騒霊らしく、この一室の中で騒がしく演奏をしていた。

「これで……演奏は終了よ」
「あーこんなに人前でやったのは久しぶりだよ!」

喋りながらもキーボードを操る指を止めないリリカに、メルランは微笑みながらそこら辺にあったフラスコで頭を叩いた。

「変化はあった?」
「……」
「どうしたのよ。返事くらい返してもいいでしょう」
「……何も、変わらないわ」

 医者の言うとおり、少女の表情はいまだに苦悶に満ちていた。
 どうしてだろうか。もしかして私たちの音楽ではダメだったのだろうか。

「お医者さん。その子、ダメなんでしょうか?」
「そうね……貴女たちの音楽に何も見出せなかった、聞き出せなかったとしたらまた別の方法しかないのかもしれない」

 メルランの問いかけに、医者は指の爪を噛みながら表情を変えた。
 きっとつらいのだ。目の前で苦しむ者を助けることができない、自分の力量の無さに。
 今まで当然のように救えた命を、こうやって目の前で失いそうになる無力さに。
 私たちが先ほど演奏者としての性分を見せたように、彼女もまた医者としての性分がある。

「つまり、この子が欲しいと思う音を持ってくればいいんでしょう?」
「……えっ」

 医者の驚く顔を余所に私は思う。
 この少女が欲しいのは、きっと命を教えてくれる音だ。私たちは生きていることを楽しいと思える、そんな音楽しかできない。
 でもそれを見つけ出し、持ってこれたなら助けることができる。まぁ私ならその類の音には、性格が性格だし敏感に反応できるだろうから見つけるのも容易だろう。

「私が何とかする。その間、妹たちをお願い」
「――ごめんなさい」
「謝る必要はないわ」

 これは演奏家に対する挑戦状でもあるのだ。オーディエンスが求める音を完璧に揃えるのも、また重要な役目だから。

「怪我とかしないでね。あんまり無茶して抜けてもらっても、ヴァイオリンがないと気が引き締まらないんだから」
「あは、そうする」

 メルランの言葉を聞き入れて、庭から飛び出そうとしたとき。

「お姉ちゃん、おみやげよろしく!」

 リリカのお茶目な一言を耳に入れてしまった。




 とりあえず、陰湿な説教をリリカに向けて十分間した後に、私は飛び出した。
 まずは音を持ち運ぶ道具を揃えるほかは無い。私が向かったのはとある雑貨屋、香霖堂である。
 様々な道具、そして外の世界の道具にある可能性に賭けてみるために尋ねてみたのだ。

「音を入れる道具、か……」

 一連の事情をある程度話し、店の店長――森近霖之介は言った。
 少しの間、目を閉じ腕を組んで考えて、店長は頭を掻きながら答える。

「ないこともないぞ。そういうのなら」
「あ、あるんだ……」
「うん。まぁちょっと待ってくれ」

 そう言って店の奥へ入り、戻ってきたときには一つの瓶を持っていた。口をコルクで止めてあるそれは、どこをどう見ても何の変哲も無い代物である。

「これは魔理沙がうちで代理販売してくれ、と頼んで寄越したものでね。何でもこの瓶にはその場の空気や概念、ともかく目に見えないものを入れることができるよう、魔法で仕組んであるんだと」

 ――まぁ、話を聞いたところで魔理沙の説明じゃあ全然解らないけどね。
 どこか気だるけに、でも表情は笑っている店長は、何も言わずにそれを私に差し出した。
 透き通るような透明な瓶を私の前に。優しく壊さないように机に置いて。

「受け取りなよ。話を聞く限り、必要じゃないのか?」
「でも……お代を出さないと」
「昔の芸人は帽子に見物料を入れてもらったらしいが、金持ちからしかもらわなかったそうだ。僕もこの一瞬くらいはそうありたいね」

 だからいらない、と店長は言った。まるで関心をなくしたかのように、素っ気無い一言である。
 その言葉に私はなぜか一瞬だけ目眩を感じ、お礼を言うのを戸惑ってしまった。世の中にはこんなお人好しがいるんだと思って。
 私は心が少し温かくなるのを覚えながらも、差し出された瓶を落とさないよう、割らないように両手で包むように受け取った。

「気をつけなよ。まだ君はスタートラインに立っただけだ。これから苦しむ少女にとってのくすりを取りに行く為の、ね」
「解ってます。これ、大切に使いますから」
「そうしてくれ。じゃないと僕が魔理沙に怒られるだろうし」

 それじゃあ無病息災で、と店長はどこか投げやりに、でも楽しそうに笑って私を見送ってくれた。
 なぜだろう。どうしてだろうか――その言葉を聞いて、私の体はどこか軽くなったみたいで。
 はやる気持ちと嬉しい思いが、前へ前へと進ませていった。




 それから太陽が真上に昇った昼から朱色に空が染まりだす夕方まで、私は飛び続けた。
 赤い館へも、亡霊が住む家にも、名も知れぬ丘へも、彼岸までも足を伸ばしてはみたが、音は無い。
 どれもこれも命と言うものを決定付けるには程遠い。何か足りなくて、何かが余計な気がして、私はずっとずっと飛び続けていた。
 体はもう疲れきっており、ぼろぼろである。途中、いろんな場所を通るからか見たこともない妖怪に襲われては瓶を庇うように逃げ惑い、一方的にやられる始末。
 体が心よりも早く根をあげてしまいそうになる。だけれど私は探し続けた。
 命を喚起させる音とは一体どんなものなのか。一人の人間の心を救えると言う音とは、どんな音色なのだろうか。
 私は騒霊として、演奏者として単純に興味があったのだ。少女の為なんて大義名分だろうが、聞きたくてしょうがなかった。

「――――」

 そして私は、ついに……辿り着いたのだ。命の産声に、叫びに、歓喜に――そのものに。

「すごい……オーケストラ、なんてものじゃない。こんな、こんなことって――音が魂をこんなに揺さぶるなんて」

 私は酷く動揺していた。両手に握る瓶を落としそうになるがどうにか抑え、倒れそうになる体は両膝を地面についてどうにか堪えた。
 そこは、大きくて力強さを感じる滝がある場所。周りを木々に囲まれ、一本の川を生み出している自然の結晶。
 遥か上より水を落とし、まるで世界中に聞こえるのではないか、と思わせるほどの音を辺りに轟かせている。
 後ろでは木々が風に揺らされ、葉をこすり合わせて静かに音を奏でていた。轟音を出している滝を、裏で支えるかのような役目だ。
 さらに川のせせらぎがまるで軽快なテンポを刻むかのように全体的な明るさを上げていく。
 極めつけは野鳥のさえずり。高く響くさえずりは天から聞こえるからこそ、まるで天女が歌っているかのように錯覚してしまう。
 私は震える体を抑えることも出来ず、泣き出しそうになる目をしっかりと開いて、その光景に酔いしれていた。
 これがきっと命を表す音なんだ。少女が欲しかった理由なんだ。自然から生まれ、自然に生きる私たちが最初に聞く偉大なる生命の喜びとは、きっとこれなんだろう。
 確信を得た心が体の震えを止めきれないものにする。私は震える指でコルクを何度か引っかいて、ようやく抜いた。
 すると、どうだろうか。先ほどまで鮮明に聞こえていた自然のオーケストラがどこか遠くに聞こえるようになってしまい、私が瓶に栓をするとまたはっきりと聞こえるようになった。
 どうやら音を吸い込むことに成功したらしい。よく解らないが、瓶が中にあるものの所為でびりびりと震えているのがよく解る。

「――待っててね」

この音を、きみの耳に届けてあげる。この命を、きみの心に聞かせてあげる。
私は足に力を入れ、飛び上がろうとするも――、

「あ、くぅ――つぅ」

 両足に痛みが走る。飛ぼうとしても浮き上がる気配がまったくない。瓶を包む両手が、壊れてしまいそうに感じて。
 そんな、嘘でしょう――私ってこんなに脆かったのだろうか。いつも騒いでいる三姉妹の長女、それが私でしょう?
 ここで倒れては残した妹二人に示しがつかない。リリカに笑われ、メルランにはしょうがないお姉さんね、と言われてしまうだろう。
 せめて今だけは。少なくとも今だけは――強い姉としていたいのだ。そして何よりも、この素敵な音を苦しんでいる少女に、きみに届けてあげたい。望む音を望むときに奏でるのが、演奏者の本分だから。
 だけれど体は言うことを聞いてはくれない。力を加えても動くばかりか地面に倒れこむ始末。瓶を割らないように仰向けに倒れてしまったけれども、自分の不甲斐なさに泪がとめどなく溢れてくる。
 私はここで終わってしまうのだろうか。様々な妖怪に傷つけられ、半日ほど飛び回って、雄大な滝に見届けられて。
 嬉しいけれど――同時に悲しくもなってくる。視界がかすむ中、瓶を落とさないよう片手で支え、もう片方を真っ青な空へと伸ばす。

「すごいんだ、音って。こうまで心を揺さぶって、ここまで生き延びたいって思わせるんだから」

 そう、呟いて。ゆっくりと目を閉じたときだった。

「――生き延びたいって言うには諦めが早いわねぇ」

 くすくすと、笑い声。足音も無く、いつの間にか誰かが私の傍に立っている。
 そう思い目を開けると、そこには扇子で顔を隠し、優雅に日傘を差す、紫色のドレスに身を包んだ女性がいた。
 表情は解らないけれど、笑っているのは確かだ。彼女は今もくすくすと笑い声を絶やさない。

「妖怪が人の為に力を尽くして命を助ける……中々面白そうだったから見させてもらったわ」
「物好きな、妖怪、ですね……」
「貴女ほどじゃないわよ」

 うふふ、と扇子を閉じ、体をかがませて顔を近づけてくる。

「こんなになるまで頑張って、どっちが渇望しているのか解らなくならない?」
「何を――言って」
「こっちの話。私の独り言。貴女に関係ないお喋り」

 一方的に話を打ち切って、彼女は私から顔を離し、背を向けた。私に対しての興味を無くしたかのように。
 何かを言おうと口が開きかけるが、止まる。第一、そこまでの体力が私にはない。どうにか開いていた瞼も閉じ、静かに今までの出来事と会ってきた人物を思い返していく。
 妹たちは大丈夫かな。リリカはいつもそわそわしていて落ち着きはないが、メルランがその分冷静になって抑える側になってくれるだろう。
 でも、悲しみはしないだろうか。ヴァイオリンがいなくなった、と音楽を止めたりしないだろうか。
 いや……そんなことはないだろう。私たちは演奏者、何よりポルターガイスト――騒霊なのだ。私が抜けても、彼女たちは音楽を続ける。
 それはここで誰が死のうとも悲しむことのない景色を保つ、この自然と同じように。そう思えば何だろう。どうしても悩んでいることがちっぽけに思えてくる。

「あら、目を瞑っちゃって。死んでもいいの?」
「……」
「声も出さないで。ふぅん――もう死んでるからどうでもいい、何てことを言い出すと思ってたのに。期待外れねぇ。
 でも、貴女のそう言った達観した態度も姿勢も、なにか気に入らないわ。諦めが早いように見えて」

 目を閉じているからどんな表情をしているか、そもそも背中を向けられているはずだから解りようもないけれど。
 今は何となくどうしているか解る気がする。彼女はこの状況を面白く思い、笑っているに違いない。

「ご都合主義ほど面白みにかけるものはないけれど……私の気まぐれなら、単に運が良かった程度になるわね」
「……えっ?」

 気づいたときには何もかもが遅く。私はぽっかりと開いた、無数の目に満ちた空間に放り込まれていた。




「――――んでばっ!」

 我ながら奇妙な声を上げて、文字通り地面へと胴体着陸を果たした。代償としてとんでもない鈍痛である。
 とりあえず辺りを見渡すとちょっとした庭園のようになっている向こうに見える和風の建物から考えるに、どこかの屋敷内のようだった。

「あいてて……あれ、瓶は?」

 両手にしっかりと握っていたはずの、命の音を取り込んだ瓶を私は持っていない。それが解った途端、背筋に悪寒が走り、顔が青ざめていくのが自分でもはっきりと解った。
 せっかく傷だらけになってまで捜し求めたのに、はるばる遠方まで飛んでまで追い求めたのに。
 ぼろぼろの体を根気を振り絞って起き上がらせると、被っている帽子に何か違和感を感じた。私は恐る恐る手を伸ばし、確かめてみると中から大事に持っていた瓶が出てきたではないか。
 ほっ、と安心して空を仰ぐように体を上に向け、瓶を顔の横に置き、一息をつく。
 何と言えばいいのだろう……一仕事を終えた感覚に似ている。演奏を全てやりきった、あのときと同じだ。

「ふ、ふふ」

 しかし、仕事はまだ終わりではない。ようやく折り返したところである。ここからこの瓶を心を病んだ少女と、病気に苦戦する医者に届け、助けてあげなくてはならない。
 こんなところで寝転んでいるわけにはいかない――決意を固め、とうとう悲鳴を上げだした体を起こそうとした、そのときだった。

「あっ、あ――ルナサさん? ルナサさんですね!」

 屋敷の方から、どこかで聞いた覚えのある声が一人分。
 その方を見れば、長くて白い耳を持つ、ミニスカートの少女は私が医者の下へ訪れた際に出会った、あの子と似ていて。
 と言うよりも……本人である。

「だ、大丈夫ですかルナサさん! あぁ――こんなに傷だらけで」
「……あの子は?」
「こんなになってるのに他人の……ルナサさん、まさかあの子供のことを?」

 言葉を出すのもつらい今は、ただ頷くだけしかできない。少女は私の様子を見てじわりと泪を浮かべ、小さく大丈夫です、と呟いた。
 あぁ、そうか。君はまだ息をしていて、そして苦しんでいるんだ。なら私は伝えなくちゃいけない。この傷だらけの体を引きずってでも、死に体になってでも。
 私を支える腕を掴み、それを伝って起き上がろうと、全力を振り絞る。
 体の悲鳴が、軋みが止まらない。頭の中で危険だ、動くな、死んでしまうと警告が鳴り止まない状態が続く。

「ルナサ姉ちゃん!」
「姉さん!」

 どうにか立ち上がれたものの、力が入らずに崩れ落ちそうになった瞬間、私を支える二人がやってきた。
 右には赤色の服を着た末女が、左には白色の服を着た次女が。
 二人ともそれぞれ痛々しいと表情で言っているが、同時に誇らしげにもしている。

「嬉しそうだね。何かあった?」
「姉さんは喋らないで。もう……一人で行くからこうなるのよ」
「ごめん。でもこの音ばかりは私が敏感に感じ取れると思ったから」
「無理しないでよ。私のトランペットとリリカのキーボードだけじゃ、プリズムリバーの音楽は成り立たないんだから」

 メルランはそう言って、リリカと息を合わせてある部屋へと私を連れて行った。
 そこはこの屋敷で一番初めに訪れた場所で、そして戻ってくるはずの場所。
 リリカが急いで襖を開ければ、いまだに苦しむ少女と、隣で汗を拭いてあげている女性がいた。

「どうも、お医者さん……患者さんは大丈夫?」

 私がかけた、弱々しい声に医者は体を一瞬だけこわばらせて顔をこちらに向ける。
 そして大きく目を見開いて、正座の状態からどうやったらそんなに早く立ち上がれるのか、と思うほどすばやく立ち上がった。

「あ、貴女――なぜそんなに怪我を」
「いいです、そんなに気にしてません。それよりも」
「それよりもじゃないでしょう!」

 疲れきった顔からあらゆる何かが吹き飛んで、私に対する怒りだけがにじみ出ていた。

「貴女はこの子を救う為に死んで、それで良いとか一瞬でも思ったんじゃないでしょうね」
「まさか――そんな」
「そしたら貴女はこの子を殺したも同然よ。だって、残された二人はきっと少女を憎むでしょう!」

 私は医者から言われた言葉にはっとなった。
 確かにここに来るまで死にかけだった私は、医者の言うとおり、少女を助けれれば良いと思っていた。
 しかし、そうなってしまえば残されたリリカとメルランはどうなるのだろう? そのことを私は一度も考えていなかった。
 二人は何だかんだで私のことを慕ってくれている。音楽に関しても、そして何より家族としてもだ。
 だからこそ私の死を誰よりも思い、重く受け止めるだろう。ゆえに私が死んででも救った少女に責任を求めるだろう。
 呪いをかけるかもしれない。一生許さないのかもしれない。最悪の場合――殺してしまうかもしれない。医者はそこまで考えて私に向けて叱咤したのだ。
 もしかしたらあの妖怪はそこまで考えて私を助けてくれたのだろうか……でも、自分で気まぐれと言うほどの人物に、そこまでの期待をして言いものかどうか。

「でも、これでそこの少女を救えるはずです」
「これは……?」
「香霖堂でもらったんです。何でも入れることができる魔法の瓶……その中には、彼女を救う音が、くすりとしてあります」
「――本当に、ありがとう」

 私が両手に握る瓶を、医者は壊さないように優しく受け取り、少女の顔の横に正座した。そしてそのまま瓶の口を耳元に近づけ、ゆっくりとコルクを引き抜く。
 すると、どうだろう。部屋を支配していた静寂の奥から、何かが聞こえてくるではないか。
 最初は木々のざわめき。葉っぱがこすれあう音。心にある重い何かを風に乗せてどこかへと吹き飛ばすそれは、傷の痛みを忘れさせた。
 次は小鳥たちのさえずり――天女と思わせる歌声。ごちゃごちゃと何かを考えていた頭はその瞬間でクリアになり、すっきりとした感覚を覚える。
 最後に滝の轟き。天空から落ちてくる水の音。力強さと偉大さを聞く者の心に刻み付けるようで、自然と背筋が伸びていた。
 これが命の音――自然の中にある、最も命に近い音。
 人間が一番初めに聞いた心臓の鼓動――それに最も近いこれこそ、命のゆりかごにふさわしい。
 気づけば、私は泪を流していた。それは支えに回っているリリカもメルランも同じで。医者すらも、静かに泣いていた。

「医者さん――具合はどうなんですか」
「見れば、解る……でしょう?」

 ちょっとずつ霞んでいく視界で、どうにか少女の顔を見る。

「――助かったのよ」

 見れば、少女も顔を穏やかにして、泪を流していた。




 それからすぐ私は体力が尽きてその場に倒れてしまった。どうやら妖怪にやられた傷……と言うより、飛び回りすぎたのが祟ったらしい。
 私は屋敷にて療養を強制させられた。悲しいかな、いつもの服装ではなく真っ白の服に変えられて。
 妹たちは当然ここに残ると言い出したけれど、さすがにここで騒げば命もあったものではないので帰ってもらった。
 リリカは最後までぶーぶーと文句を言ってはいたが、きっと大丈夫。彼女の傍にはメルランもいる。面倒見の良い彼女ならリリカの手綱をしっかりと握れるだろう。
 心配事もなくなって私は一息をつき、ヴァイオリンに触れることもなく、一週間の間を泥のように眠った。
 その間は何も夢を見らず、ご飯も音も聞く機会がなかった。ただの真っ暗な世界で、あっという間に時間が過ぎていくだけで。
 まぁ今回の運動量を考えるとそれだけ動いていた気もするし、私にとっては正しい休息だったかもしれない。
 ともかくそうやって完璧な休憩をとって、一週間後。元の服へ着替えるとあてがわれた部屋からのそり、と抜け出し朝日に向かって背を伸ばす私がいた。
 もしかするとこれが噂に聞く娑婆の空気は気持ち良い、と言うやつだろうか? 囚人の考えを思いつくなんて、私もどこまで陰湿なのだろう。

「気持ちよさそうね、演奏者さん」

 廊下の奥からいつの間にか私の隣に来て話しかけてきたのは、ずいぶんとお世話になった医者の女性である。
 一番初めに会った頃より髪や顔色が良くなっているのは、きっと気の所為ではないだろう。

「そちらも元気そうですね」
「えぇ。ようやくお風呂にも入れて一安心よ。貴女は……もう帰るのかしら?」
「はい、お世話になりました」
「こちらこそ助かったわ……そうだ。あの子に会ってから帰るといいわ。きっと喜ぶわよ」

 あの子――少女はもう大丈夫だろうか。最後に見たときの印象が強くて、若干の不安は残るが。
 しかし、それでもこれが最後かもしれない、と私は思い軽く頭を下げて少女が眠る部屋へと向かった。
 辿り着いて、閉じられた襖をゆっくりと開き、以前と比べれば別の部屋かと思うほど綺麗に片付いた部屋に入り込む。
 真ん中には最初と同じく布団があって、少女はまだそこで横になって眠っていた。私は彼女の傍に医者がしていたように正座し、目を閉じておとなしい顔を撫でる。

「きみは、つらかったんだろうね」

 生きている意味が欲しくて、命に理由を求めて。心は潤いを無くしていった。

「でも大丈夫。これできみもようやく第一歩を踏み出せたんだから、真っ直ぐ歩けるよ」

 本当は、こうやって音を持ってくる必要はないんだ。きみが欲しがっていたものは、本来は人間の母親が教えるべきもの。
 それを放棄されて、きっとどうしたら良いのか解らなくなったんだ。だから求めた。喉から手が出るほどに――意味と理由だけを渇望した。

「きみにはもうこのくすりはいらないね。もし必要になったら――いや、その心配はいらないか」

 横に置いてある瓶を掴み、私は少女の表情を見る。それは最初の頃を思い返せば見ることができない、と思わせる顔だった。
 そう、それでいいんだよ――きみはそうやって、笑って眠れるんだから。




 音楽家と演奏者は、きっとどこか違うのだと思う。私は常々こうやって長い間、まぁヴァイオリンしか使ったことがないのだが感じるところがある。
 それはやはり全体の音に執着するか、音一つに執着するか、だ。私やトランペッターのメルラン、キーボーダーのリリカら妹たちも演奏者ゆえに、音にはとびきり敏感だ。

「……疲れた」

 青空が広がるある一日。三つの音が聞く者を虜にする……わけもなく、私たちは音を奏でている。
 疲れを感じヴァイオリンを肩から離して私は一息をついた。
 演奏の途中、なのだが実際はリリカの暴奏であり、メルランも同じく休憩をしている。

「何よ何よ何よ! お姉ちゃんたち情けない!」
「元気が取り柄のリリカに華を持たせてるのよ?」
「ぶーっだ! いいもんね。お姉ちゃんたちがそうやって休んでる間にたくさん練習して、プリズムリバー三姉妹の頂点に立ってみせるんだから!」

 リリカの言葉にメルランはため息混じりに微笑み、私はそうか、とだけ呟いた。
 見上げる空はどこまでも青く、点々とする雲は真っ白でそこから一つ、何か黒い点が視界に入ったかと思えば、それは見る見るうちに大きくなり、やがて私のすぐ隣に降り立った。
 それはこの前の鴉天狗だった最初に会ったときと同じ服装で、同じ着地音をさせて登場してきた彼女を見ると、何かデジャブを見ているようで。

「や、皆さん。これはまた騒々しい一日を送ってらっしゃるようで」
「前口上はいいわ……用件は何?」
「ルナサさんはちょっぴりつれないですねぇ――今回はお届け物です。生憎と飛脚の真似ではないのですが、関わった以上は締めぐらいきちんとしておきたくて」

 ポシェットから取り出したのは、あのときのような上質紙ではなく、ちょっとぼろい便箋だった。
 二つ折りにしてあるそれを開いて中身を見れば、綺麗な字ではなくて少し形が崩れた、拙い字が文章を作っている。

「これは?」
「それは貴女に宛てられた手紙ですよ」
「見れば解る。これは誰が書いたの? 見たところ差出人の名前が書かれてないようだけど」
「本当は知ってるくせに。確証が欲しいんですか、もしかして」
「……いえ、もういいわ。ありがとう、鴉天狗さん」
「こちらこそ良いネタをありがたくいただきましたよ」

 それではまた今度、機会が合えばまた……と言って、鴉天狗は羽を羽ばたかせて大空へと戻っていった。
 風のように飛ぶ姿を少しの間だけ眺めて、私は視線を便箋に戻し、何と書いてあるのかを確かめる。
 一体、あのときのきみはどうなったのか。どう立ち直ることができたか。知りたいことが山ほどあって、私は読むのを止めれなかった。

『私を助けてくれたおねいさんへ。いっぱいいっぱい、ありがとう。目が覚めたのはおねいさんが帰った後だけど、お話は全部お医者様に聞きました。
 たくさん傷ついて、へとへとになってまで私に音を届けてくれて、とても嬉しいです。だから私、もっともっと頑張って生きて、音楽をします。私を助けてくれたおねいさんみたいに』
「――そっか」

 私が届けた音は、間違ってはいなかったんだな。きみの耳に、心に届いていたようだ。
 それならもう心配することは一つもない。後はもうお互いに遠い存在――人間と妖怪に戻るだけでいい。
 でも、きみ。忘れて欲しくないことが実はあるんだ。それは決して私のことなんかではない。

「お姉ちゃん、もう休憩は終わりだよー」
「ほらほら。早く音を合わせましょう」

 この世の中は確かにつらくて、冷たくて、甘くもないのかもしれない。
 きみがそう思い、感じたように私だってそう思うときがある。もしかしたら生きているもの皆がそうかもしれない。
 でも、本当はそうじゃないんだ。きみも、私も、皆も全部。

「あぁ、ごめん。ちょっと感慨にふけっちゃって」
「それっていつものことじゃん」
「…………」
「こ、こらリリカ! はやくお姉さんに謝りなさい!」

 私は騒霊で、家族がいる。妹が二人だ。そして彼女らに囲まれて私は感じるところがある。
 この世の中に悪いことがあるように、良いことも必ず手の届くところや目に入るところにあるのだ、と言う事実を。
 きみだってそうだよ? いろんな仲間――人々に囲まれれば、きっと同じ気持ちになるかもしれない。
 今はまだ解らないだろうけれど、きっと大丈夫。何せきみはあの音を聞いたんだから。
 父のような雄大さを持った、母のような優しさを持った、天国のような存在感ある自然の命が奏でた音を聞いたんだから。
 きっときみは、何があっても立ち上がれるはず。

「お姉ちゃん、何するー?」
「うん、そうだね――それじゃあベートヴェン作、ヴァイオリンソナタ第五番をやろう」
「えー。あれ苦手なのにー」
「文句を言わない。ほら、始めるよ」

 肩と顎で私がヴァイオリンを挟めば、やれやれとメルランはトランペットを口にあてがい、ふてくされながらリリカはキーボードに指を添える。
 今日も一日、騒霊として騒がしく、三色の音を誰に聞かれるわけでもないのに私たちは奏でている。
 変わらない毎日は当然のように過ぎていく。必然のような出来事が楽しいと思える一日が、皆のところにやってくる。
 どこかの空の下で、きみが笑っているように。医者が今日も誰かを助けるように。
今回のお話は自分なりにどストレートに受け取ってみました。くすりは薬、音は音、きみはきみ、人として扱って、さらっと簡単にです。
音楽好きな自分にしてはたまらないお題ですが、やっぱり難しくて難しくて。ひねれなかったのが残念です。
それに「きみ」の要素があまりにも薄かった気もします。超がつくほどの反省点です。
自分が読んで、「あーはい。「きみ」ってのは患者さんなんだねぇー」って納得できるようじゃまだまだですね。
あと、15000文字が上限、と知ったときには軽く1000文字上回っていました。この文章、マックス−10文字で出来ています。
……それでは、最後までお読みくださった皆様の率直な感想をいただけたら、感謝の極みにございます。
すっとこどっこい
作品情報
作品集:
最新
投稿日時:
2010/03/20 22:45:24
更新日時:
2010/03/20 22:45:24
評価:
10/10
POINT:
53
SPPOINT:
55
Rate:
1.42
1. 通常ポイント7点 お題ポイント7 ■2010/03/21 05:12:56
後書き通りにきみの要素が少なかったですが、とにかく音を薬として扱うストレートさがかっこよかったです。
このルナサ熱血過ぎてルナサじゃない
2. 通常ポイント6点 お題ポイント6 ワタシ ■2010/03/28 02:03:42
自分の作品と比べると、とても救いに溢れる話なのがががが。
感想としては、丁寧に書かれた作品だなぁ、と。
3. 通常ポイント4点 お題ポイント4 ぶるり ■2010/04/01 17:59:27
 青いなぁ、と感じました。何がって、話の作りですよ。
 いや、実に青い。誰かを救う為に、傷つき、倒れ、それでも救う。良いじゃないですか。
 ただ少し御都合主義的に陥っていた気もします。説明不足と言うべきか。
 短編コンペの宿命ではありますが。

 お題について。
 まぁ、音は音、くすりはくすり。そしてきみは患者さん。
 きみが使えていないので、点数はこんなもんです。
4. 通常ポイント3点 お題ポイント3 八重結界 ■2010/04/02 15:52:31
悪い言い方をしてしまえば、どうにも予定調和すぎて物足りない感がありました。
容量制限があるとはいえ、あっさり音も見つかりましたし。
5. 通常ポイント7点 お題ポイント5 静かな部屋 ■2010/04/02 20:53:20
【内容のこと】
 うん。森はいい。人生を豊かにする。地球そのもの!みたいな雄大さですもんねー。
滝での描写が素晴らしかった! 目の前に滝が、木々が、浮かび上がるような、自然のオーケストラが奏でる演奏が聞こえてくるような。

【お題のこと】
 やっぱり、この容量で三つとも自然に混ぜるのは難しいんだろうか。「きみ」が、もっと奇抜な使い方がされていれば……!などと考えてしまう。
6. 通常ポイント7点 お題ポイント6 飛び入り魚 ■2010/04/02 21:41:12
 ベタ。だが、それがいい。
 展開が非常に分かりやすい分、安心して読み進めることができます。
 お題の使い方も、SSに持たせたメッセージも直球勝負なのが好きです。
 こんぺでは「どう捻ろうか」という思考回路になりそうですが、
 真っ直ぐに突き進んだ書き方が良さとして現れているように思えてなりません。
 要するに、どんな変化球が来るかと待ち構えているところに、ど真ん中ストレート見逃し三振でした。
7. 通常ポイント4点 お題ポイント6 時計屋 ■2010/04/02 22:38:07
30kbとは思えないほど中身が濃く、良くまとまったお話だとは思うのですが……。
あまりにも予定調和で話が進んでしまっているため、新鮮な驚きや感動を得るということはありませんでした。
もう一味、何か欲しかったです。
8. 通常ポイント6点 お題ポイント6 K.M ■2010/04/02 23:02:07
スタンダードにお題を使い、かつ上手く纏まっている、と思います。
9. 通常ポイント2点 お題ポイント7 ねじ巻き式ウーパールーパー ■2010/04/02 23:39:48
内容について:
三題について強く意識して書かれた物語だと感じました。
本筋についてなのですが、可哀想な女の子のため主人公が奔走し、女の子は救われる。まさに王道と言うべき物語です。そしてだからこそもっと深みが欲しかったと思います。
音を持ってくる必要がある→香霖堂でそのための道具を手に入れる→音を見つける→紫登場→女の子救われるの流れはご都合主義の悪い連鎖が目立っていると感じました。ご都合主義が悪い訳ではありませんが(むしろ王道はそれを楽しむ側面もあります)しかし、見せ方には十分な配慮をするべきなのだと思います。
例えばルナサが動けなくなるシーン。あの手のイベントというのは結末がなんとなく分かっていても、読者をハラハラさせるものでなくてはいけません。その点であのシーンはとってつけたような印象が否めませんでした。
あらかじめ伏線を張っておき、あの場面を物語最大の見せ場として炸裂させる構成などにすれば(このシーンを以ってルナサが他人である女の子のためここまで必死に動く理由に十分な説得力を持たせる事も、後の紫様の介入を自然に見せることもできるでしょう)、印象は随分と変わったものと考えます。

お題について:
【くすり】【きみ】【音】それぞれ3点、1点、3点で。話の重要ワードとして全て使われているのですが、きみだけは些か弱く感じました。
10. 通常ポイント7点 お題ポイント5 文鎮 ■2010/04/02 23:43:19
ルナサが主人公!いいですねぇ。
幻想郷中を飛び回って音を探すのも素敵でしたが、ここはプリズムリバー楽団の力で……と望むのはわがままですね。
いやいや、面白かったです。
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