リスクとお神酒の間で

作品集: 最新 投稿日時: 2010/03/20 22:32:30 更新日時: 2010/03/20 22:32:30 評価: 9/10 POINT: 31 SPPOINT: 43 Rate: 1.12
【三月精の家呑み】 

 春が来た。どこぞの亡霊が春を独占しようとすることもなく、幻想郷に春が来た。桜が咲き誇り、人間が酒を呑み、妖怪が酒を呑み、妖精が酒を呑む春。全ての人妖が、きたるべき宴会の季節を心待ちにしていた。
 もちろん、サニーミルク、スターサファイア、そしてルナチャイルドの三匹の妖精も同様であった。だが、
「……なんでお酒が無くなってるのよおおおおお!?」
「あなたが冬の間に全部呑んじゃったからでしょ」
棚を覗き込んだサニーが悲鳴を上げ、突然の大声に顔をしかめながらスターが答える。
「お酒が無くなったら、この春をどうやって乗り切ればいいのよ……」
サニーが頭を抱えて、せまい床を転げまわる。
「去年もそうなったんだから、懲りればよかったのに」
音を操れるため、突然の悲鳴にも涼しい顔をしていたルナチャイルドが、さすがにあきれたような顔をする。
「そんな事いったってぇ、冬の間なんにもすることなかったじゃない」
「だからって……結局、去年はどうしたんだっけ?」
「ええと……私たちのことだからどうせ……」
「どっかから持ってきた?」
ついに動かなくなったサニーを無視し、スターとルナチャイルドが過去を振り返っていると、
「それだ!」
サニーが復活した。
「そうよ、それでこそ妖精じゃない!」
おもむろに立ち上がり、服をはたいて、近くの椅子の上に乗って、言った。
「これから春が本格的に到来する前に、お酒を調達します!」

【三月精の作戦会議】

「これから春が本格的に到来する前に、お酒を調達します! スター! どこかにお酒がたくさん保存してあるところない?」
「なんで私に聞くのよ……?」
「いや、なんとなく。じゃあ、ルナは?」
「湖の近くの真っ赤なお屋敷なら、沢山あるんじゃない?」
「「あそこは無理!」」
音を消せるルナチャイルドは、ステレオで怒鳴られても平然と次の案を提出した。
「博麗神社は? 近いし、いつもいたずらしてるから慣れてるし」
「あー、そういえばあそこ、お酒の入った樽みたいなの置いてなかった?」
「あれがなくなれば霊夢も困るし、お酒も手に入って一石二鳥じゃない!」
耳元で怒鳴っても平然としていたルナに恨みがましい目を向けていた二人だったが、その提案には感心したらしい。口々に、神社を襲撃するアイデアを出す。
「そうと決まれば、さっそく作戦会議よ!」
サニーが高らかに宣言した。

「誰か、霊夢を神社から引き離す人が必要なんじゃない?」
「じゃあ、魔理沙に頼む?」
「でも、神社の宴会がつぶれるとなると、魔理沙は協力してくれないんじゃ……?」
「文さんに異変の情報でも適当に流してもらう?」
「さっきの理由で却下」
「お酒が絡むと恐ろしいからね、みんな」
「お酒一樽のために、幻想郷の有力者をまとめて敵に回すっていうのも、リスクが大きすぎない?」
「リスクとお神酒、どっちを優先するか、ね……」
「やるって決めたんだから、やり遂げましょうよ!」
「それもそうね」
「具体的に、いつ決行するかだけど……」

【三月精の作戦決行】

ついに、決行の時がやってきた。
霊夢が出かけたのを見計らって、神社に侵入する。どうせあのぐうたら巫女のことだ、
用事がよほどたまらないと出掛けないだろう。
つまり、一度出掛ければしばらくは帰ってこないということだ。
サニーがひそひそ声でスターに話しかける。
「スター、神社内になにかいる?」
同じくひそひそ声で、スターが答える。
「大丈夫、猫の一匹もいないわ」
「……あなたたち、そんなに私の能力が信用できない?」
付近の音を周囲に漏れないようにしていたルナが、うんざりしたような声を上げる。
「それはそうと、ほら、あれでしょ」
ルナの文句を華麗にスルーしたスターが、お神酒の樽を指差す。
「あ、そうそう! 後は持ち帰るだけね!」
サニーがうれしそうに近づいていく。
「でも、近くで見ると重そうねー」
スターが樽をぺちぺちとたたきながら、そんな感想をもらす。
「なに、転がしていけば大丈夫でしょ」
「じゃ、運ぶよー。せーので持って、ゆっくり倒す」
「「「せーの、」」」
「ちょっと待ったあ!」
突然、スターが大声をあげた。
「ひえっ!?」
それに驚いたサニーとルナが、樽を倒してしまい、大きな音を立ててしまう。
「急に何なのよ!?」
「誰か……神社に向かってる」
「え?」
「しかも一人じゃないし! 早く隠れましょう!」
スターが切羽詰った声を上げる。
やがて、がやがや話しながら、大勢の人間が神社に入ってくる。
「何なのよいきなりうちで宴会だなんて。まだ桜も咲いてないのに」
「まーいいじゃないか。『江戸っ子は酔い越しの酒はもたない』だぜ」
三匹は、台所に隠れていた。サニーが姿を隠しているのはいえ、あの巫女は勘がいいので、うかつに出て行くわけにもいかなかった。
「スター! 神社にいるのって、二人だけ?」
「うん。今なら、こっそり帰れるわよ!」
「じゃあ、そうっと……」
「あああああああ!」
「えっ!? 何?」
脱出しようと動き始めた三月精に、巫女の叫び声が届いた。
「なんだ? どうしたんだ?」
「お神酒の樽が倒れてる」
「中身は!? 中身は無事なのか!?」
「最初に何の心配をしてるのよ!?」
二人の声が、どんどん近づいてくる。
「まずいわよ! 早く逃げましょう!」
いままでで一番早いであろう抜き足差し足で、神社から脱出する。
「よし! 後は走るだけね!」
とサニーが叫んだ。だが、
「あら、あなたたちこんなところで何してるの?」
と、背後から自分たちを追いかける声がした。
「え? なんで見えて――」
振り返ると、そこには竹林で出会った妖怪兎が。
「またあんたたちかああああああ!!」
ルナが驚いて能力を解除してしまったため、広い境内で姿をさらした三匹をめがけて、霊夢の怒声と札が飛んでくる。
三匹に認識できたのは、そこまでだった。
以上です。ありがとうございました。
後半部分が圧倒的に薄っぺらくなってしまいました。
ごめんなさい。

「時間がなかった」というのを言い訳にするつもりはないですが、
せめてもう少し早くネタを思いつかなかったものか……

しかもこういうときにかぎ……やめておきます。

できるだけ、いつもの三月精に近づけることを目標に書きました。

【お題の話】
タイトルで気づいた方もおられるでしょうし、お題が出た瞬間に思いついた方もいるとは思いますが、
僕にはこれが限界でした。

りすくとおみき←→きみおとくすり

機会があれば、もう一度書き直したい……
静かな部屋
作品情報
作品集:
最新
投稿日時:
2010/03/20 22:32:30
更新日時:
2010/03/20 22:32:30
評価:
9/10
POINT:
31
SPPOINT:
43
Rate:
1.12
1. 通常ポイント3点 お題ポイント5 ■2010/03/21 04:54:50
三月精のキャラクターの活躍は新鮮でした。
お題をひっくり返すのはもっと新鮮でした。
僕がこういうお題コンペに慣れてないってだけなんですが……。
2. 通常ポイント3点 お題ポイント3 じろー ■2010/03/26 15:14:42
台詞が主体になっていますが、それだけだと、少し情景を想像するのに時間がかかるし、苦労します。
少し辛辣な言葉になってしまいますが、淡々と場面を語っていくだけのような記録を読むような印象を受けました。
それは、やはり情景描写が足りないせいですね。キャラが行動した理由、裏付けになるバックストーリー(例えば紅魔館が無理な理由など)行動の結果思ったこと、相手がどうなったか、その時の周りの様子は、そういった取り巻く環境ないし、キャラの心情に力を入れることで、生き生きとした文章になると思います。(かくいう私はできているのか、と言われれば、できている、と声を大にして言えませんが)
3. 通常ポイント3点 お題ポイント9 ワタシ ■2010/03/28 01:59:50
話の短さはやはりもったいないなぁと思います。
本家の三月精も前後編の前編だけならこのくらいという気もしますけど。
お題を混ぜる発想はなかったのでやはり高めに。
4. 通常ポイント2点 お題ポイント2 ぶるり ■2010/04/01 17:58:42
 淡々としていて、非常に薄い。
 話も急展開。一言で言うと魅力がありません。
 
 お題の使い方は結構面白いと思います。
 が、作品自体が魅力的でない以上、あまりお題点も高くなることはありません。
5. 通常ポイント4点 お題ポイント5 八重結界 ■2010/04/02 15:18:57
もうちょっとハラハラがあれば良かったんですけど、これはこれで可愛らしくて良いのかもしれない。
6. 通常ポイント4点 お題ポイント7 飛び入り魚 ■2010/04/02 21:41:41
 うおお、何ということ。そんなお題の発想が出るとは。
 三月精が非常に「らし」かったです。

 >三匹に認識できたのは、そこまでだった。
 あまりにひどい目にあって三匹なのか二匹なのかすら分からないほどめちゃめちゃ……。
 という恐ろしい捉え方をしてしまいました。びっくりした。
7. 通常ポイント2点 お題ポイント2 時計屋 ■2010/04/02 22:35:48
おお! 三月精主人公のSSきた!
でも確かに盛り上がる前に終わってしまったような、いかにも中途半端な印象でした。
文章も一つの文に色々と詰め込みすぎて、テンポが悪くなっています。
次回はそこに気をつけてみてください。
8. 通常ポイント3点 お題ポイント2 K.M ■2010/04/02 23:01:20
この使い方は完全に想定外でした。
9. 通常ポイント7点 お題ポイント8 yunta ■2010/04/02 23:19:03
なるほど!こういうお題の使い方もあるのか〜。個人的には、結構面白い使い方だったと思います!
お題有りきなので、このくらいの量でも文章はいいんじゃないかとも思いました。
10. フリーレス 静かな部屋 ■2010/04/05 23:35:18
皆さんコンペお疲れ様でした!


最後まで読んでいただいて、その上感想やアドバイスまで下さって、本当にありがとうございました。

やはり、お題一発勝負に出るには、実力が伴っていなかったということか……。

>>絹 様
ありがとうございました。
ちなみに僕も二度目です。一度目はあとがきでとちって失格になりました。

>>じろー 様
今回は、「ほのぼのっぽいもの」を目指してみたんですが、
いまひとつ勝手が分からず、
「台詞主体で書けばそれっぽくなるだろう」
とかいう独自理論で突っ走った結果が、これでした。
一応、紅魔館を消去した理由は、「侵入したら死ぬから」だったりします。

>>ワタシ 様
お題ポイントをこんなにたくさん……! ありがとうございます。
話が短くなってしまったのは、僕のスケジュール管理が甘かったからです。
ごめんなさい。

>>ぶるり 様
やっぱり薄いですよね……ウドンゲがそこにいた理由、霊夢はどこで魔理沙と会ったのか……
読み返してたら死にたくなってきた。
コメントをありがとうございました。

>>八重結界 様
ハラハラですか。もう少し起伏をつけろという事でしょうか、努力してみます

>>飛び入り魚 様
確かにそういう捉え方もできますね……単純に描写力が足りてない。
でもそれもいいか……いや駄目だ絶対に駄目だ

>>時計屋 様
なるほど、詰め込みすぎか。
もっと言葉を尽くして説明しなくては、ということかな?

>>K.M 様
ありがとうございます! その一言だけでも、投稿した甲斐があったというものです

>>yunta 様
ありがとうございます! そういっていただけると、ほっとします。

読んでいただいた皆様、本当にありがとうございました。
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