素敵なリズムで鳴らしましょう?

作品集: 最新 投稿日時: 2010/03/11 20:46:44 更新日時: 2010/03/11 20:46:44 評価: 12/12 POINT: 54 SPPOINT: 61 Rate: 1.22
 くすくすり。
 ご主人様が笑ってる。
 くすくすり。
 彼女が笑うと私も嬉しい。
 ついつい私は聞いてしまう。

「ご主人様。何がそんなにおかしいの?」
「ナズーリン。私は自分が情けない」

 しくしくり。
 なんてこと。彼女の笑みは自嘲の笑みか。
 しくしくり。
 彼女が泣くと私も悲しい。

「ご主人様。何があったか話してごらん、私が力になりましょう」
「あなたはなんて優しいの」
「ご主人様のためならば。それで一体どうしたの?」
「失くしちゃいました。宝塔を」
「またですか。しっかり仕舞っておきなさい」
「すみません。遊んでいたら落ちちゃった」
「子供かい。はしゃぎすぎるとそうなるさ」

 気持ちはわかるが、とは言えない。
 甘やかしたらダメなのさ。

 キラキラキラリキラキラリ。
 ご主人様が宝塔翳す。
 キラキラキラリキラキラリ。
 宝塔翳すとキレイに光る。

 シャラランシャラランシャラランラン。
 ご主人様が宝塔振るう。
 シャラランシャラランシャラランラン。
 宝塔振るうと音がなる。

 私はそれが好きだから。

「わかったよ。私が探してみせましょう」
「ナズーリン。いつもほんとにありがとう」
「何でもないさ。こんなこと」

 私はきみが好きだから。
 探してみせます何度でも。
 大丈夫。きっと、絶対見つかるさ! 私はダウザーなんだもの。













 とは言うが、一体どこから探そうか。
 うーんうん。
 うーんうん。

「おや、あれは」

 一輪さんではないですか。

「やあ一輪。聞きたいことがあるのだが」
「あらネズミ。そんなに急いでどうしたの?」
「実はまた、かくかくしかじか、困ってるんだ」
「まあ大変。何か私に手伝える?」
「どこに落ちたかわからない。心当たりはないですか?」
「どお? 雲山」

 ふるふるふる。

「ごめんなさい。見てないそうよ。雲山は」
「そうなのか……」

 ちょっぴり期待をしちゃったよ。

「と言うより、なんで星に聞かないの?」
「え! それは……」

 ドキンとハートが鳴りました。
 じろじろと、にやけた顔で私を見る。

「んふふふふ?」
「な、なんだい? ちょっと聞くのを忘れただけさ」
「そうかしら? わざと聞かなかったのではないの?」

 だらだらだら。
 伝う汗が止まらない。

「馬鹿なことを。何を根拠にそう思う?」
「カッコつけたい。そうじゃない?」

 ストライク。
 だけど認めることなどできぬ。

「大はずれ。一輪さんもまだまだね」
「あら、残念。結構自信があったのに」
「そう、残念。それでは私は失礼を……」

 退却退却。ここは危険。
 すたすたすた。

「お待ちなさい」

 しかし、回り込まれました。

「ならば今から聞きに行け」
「ごめんなさい。私が嘘を吐きました」
「ふむ、よろしい。妖怪、素直が一番です」

 隠していても仕方ない。ここは協力してもらおう。

「ご主人様が好きだから、カッコつけていたいのさ」
「あら素敵。ネズミのくせに言うじゃない」
「びっくりしたよ、自分でも。なんだか喉が渇いてきた」
「はいどうぞ。これを飲んで、落ち着きなさい」
「用意がいいね、ありがとう」

 ごくごくごくり、ごくごくり。

「ああうまい。どこで汲んだ水なんだい?」
「ナズーリン。実はそれは、雲山です」

 げほげほげほ。

「馬鹿なのか? そんなものを飲ませるな」
「冗談ですよ。水ですよ」

 やれやれさ。

「なんでそんな冗談を?」

 うふふふふ、と彼女は笑う。

「困った時こそ笑いましょう?」
「……だからと言って、雲山はない。人が悪いね一輪は」
「人ではないわ、妖怪よ」
「なるほど確かに、違いない」

 うふふふふ、と彼女が笑えば、あはははは、と私も笑う。
 やるしかない。

「あら、行くの?」
「ああ、行くよ。探してみるさ、がむしゃらに」
「頑張って。私はここから応援するわ」
「気楽なもんだね、一輪は」
「そりゃそうよ。自分の宝は自分で探せ」

 ……鋭いね。やっぱりここは退却だ。

「行ってくる、留守番しっかり頼んだよ」
「もちろんよ。しっかりやるわ、雲山が」

 あんたもやれよ、とは言わない。
 ぐっと我慢で行ってきます。













 ゆらゆらゆらりゆらゆらり。
 西へ東へロッドはゆれる。
 くるくるくるりくるくるり。
 ロッドがゆれたら探しましょう。
 首を回して探しましょう。
 きっと近くにあるはずさ。

 ゆらゆらゆらりゆらゆらり。
 くるくるくるりくるくるり。

 たんとんたたたんたんたたたん。
 探す足音リズムに乗って。

 たたたんとんとんたたたんとん。
 幻想郷をステージに。

たたんたたんたんとんとんとん。
 太陽眠ってライトが落ちても。

 ふわふわふわりふわふわり。
 ここは私の晴舞台。

 握るロッドがパートナー。
 誰にも邪魔はさせないよ?
 
 私だけのお宝目指して。
 らんらんらんらん。
 ダンスは続く。













「見つけたよ」

 ご主人様に宝塔渡す。
 ぱあっと花が咲きました。

「ナズーリン。あなたはほんとにすごい子ね」

 さわさわさわ。
 ご主人様に撫でられた。

「子供じゃないよ。やめてくれ」

 恥ずかしくって払ってしまう。

「ありがとね」

 それでも続けるご主人様。

「なんでもないよ、こんなこと」

 素直になれない捻くれネズミ。
 くすくすり。
 ご主人様に笑われる。

「なぜ笑う」
「あなたがとても可愛くて」
「やめてくれ」

 くすくすり。
 やれやれだ。
 ようやくお目にかかれたよ。
 私のお宝、きみの笑顔を。







 終わります。
小『きみ』良いリズムで文章を読んでみましょう?
物語を、物語ではなく音で、感じるままに。
葉月ヴァンホーテン
http://hadukinote.exblog.jp/
作品情報
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最新
投稿日時:
2010/03/11 20:46:44
更新日時:
2010/03/11 20:46:44
評価:
12/12
POINT:
54
SPPOINT:
61
Rate:
1.22
1. 通常ポイント2点 お題ポイント6 ■2010/03/21 02:28:42
小気味良い、ときみを掛けたのは羨ましい。いいなぁ、凄いなぁ。
ふわふわりーふわふわるー
2. 通常ポイント7点 お題ポイント7 藤田 ■2010/03/21 09:30:26
実にリズミカルな、小気味良い文章ですね。
しかし一輪さんが出た意味があるのかな……。
リズムが重視されている分、会話に若干の違和感を覚えましたが、詮無い事ですね。
3. 通常ポイント7点 お題ポイント7 yunta ■2010/03/21 19:52:51
執筆お疲れ様でした。変わった書き方だと思ったら、後書きでそういう事か!という感じです。
擬音で文章にリズムを作るのが面白いですね。
4. 通常ポイント2点 お題ポイント3 ワタシ ■2010/03/22 23:54:31
テンポの部分はいいのですが、キャラの描写が類型的でちょっと個人的には合いませんでした。
別に奇抜な方がいいってものでもないんですけどね。
5. 通常ポイント4点 お題ポイント3 じろー ■2010/03/23 21:04:45
リズムを重視して作ってあるというのが感じ取れましたが、全編通してやると逆にテンポが悪くなるような気がします。(リズムが悪い部分も見受けられました、全部やると目立ってしまうのでしょうね)
なんというか、リズムを作って読まないといけないよいう強迫観念を僕は感じてしまい、まどろっこしさを少し感じました。
韻を踏むにしても、これはSSであって詩ではないので、要所要所に入れ込めば十分印象に残ると思います。

また、うふふふふ、とか、たんとんたたたんたんたたたん、といった音が連続して続く言葉をテンポの中に組み込むと、その部分を飛ばして読むとリズムが乱れてしまいました。あとがきを呼んで読み返して5文字だということを確認して、しっかり連続した文字を認識しましたが、リズムづくりには同じ文字を入れない方が良くなると感じます。
6. 通常ポイント2点 お題ポイント3 ぶるり ■2010/04/01 17:46:59
 言葉遊びにしては、言葉の選び方が雑に感じました。
 もう少し、凝縮して切り取った様な言葉が欲しい気がします。
 そんなに語感が良い訳でもないし……

 お題に関して。
 文章全体のテーマとして「音」と「きみ」を扱えていただけに、「くすり」を混ぜれなかったのは惜しいですね、うん。
7. 通常ポイント4点 お題ポイント5 静かな部屋 ■2010/04/02 11:44:40
【内容のこと】
 五音・七音のみで構成されていて、テンポのよい文章を
目指そうとしたのはわかるのですが、「しくしくり」
「うーんうん」など、いささか無理やりな部分があるように
感じました。
【お題のこと】
「くすり」は笑い声、
「きみ」はナズの二人称と「気味」
「音」はあとがきでのあいさつ。
ええと、とてもいいと思います。「音」をあとがきにしか
使っていないにもかかわらず、、全編を五七調に統一したことで、

説得力がとてもありました。
8. 通常ポイント3点 お題ポイント3 八重結界 ■2010/04/02 13:21:06
テンポはとても良かったです。
9. 通常ポイント5点 お題ポイント8 飛び入り魚 ■2010/04/02 21:52:04
 この七五調が小気味いい。流れるような詩みたいだ。
 飲んでしまった雲山の、ジュースの味はどんなだろ。
 短かくも楽しい一時、これぞぷちなり。
10. 通常ポイント6点 お題ポイント7 時計屋 ■2010/04/02 21:56:02
確かに小気味良いと言えるSSでした。
序盤の辺りが特に良かったです。
11. 通常ポイント8点 お題ポイント6 Ministery ■2010/04/02 22:07:36
これはよい切り口。オノマトペが楽しい楽しい。
詩歌のよう。好きです、こういう作風。
12. 通常ポイント4点 お題ポイント3 K.M ■2010/04/02 22:27:41
「太陽眠って〜〜」の上の行はスペース開けのミスでしょうか?
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