ソウルキャリバーX以降のシリーズに対する最終修正案まとめ

【キャリバーのシステムバランスに対する基本的な考え方】

【防御システムの強化と防御的環境の構築】

【コンボを取り巻く環境について】

【確反と各種リスク付けについて】


【終わりに】



【キャリバーのシステムバランスに対する基本的な考え方】

 もともとソウルキャリバーシリーズ(以下、SCシリーズ)は他の3D格闘と比べると各キャラ間の技の発生フレーム差やリーチ差が激しい傾向にあり、キャラバランスの帳尻を合わせるのがとても難しいゲームとなっています。自分は各キャラの個性付けの結果としてキャラ差が生じること自体は至極肯定的に捉えていますが、それがあまりに酷過ぎると駄ゲーになってしまうのもまた事実です。

 そこで自分は先記のキャラバランスの問題の解決を図る方法の一つとしてキャラ差を助長させるシステムや環境を修正し、その一方でキャラ差を緩和させる環境作りが必要だという考えに至りました。そして具体的にキャラ差を緩和させるような環境作りとはどのようなものなのかを考えた場合、ストリートファイターVのブロッキングシステムやデッド・オア・アライブシリーズのホールドシステム周りの環境などを参考に複数の人間と議論を積み重ねた結果、

キャラ差を助長させるシステムや環境=余計な攻撃システムや無駄に攻撃側が有利になる環境
キャラ差を緩和させるシステムや環境=防御側を有利にするシステムや防御側を不利にさせ過ぎない環境


というように定義付け、これから述べる以下の項目の中でもこの定義に沿って修正案を論じてゆくこととします。キャラ差の緩和を図るための防御的環境を整えるという主眼のもと、システムとその周辺環境に関する修正案がメインとなります。


【防御システムの強化と防御的環境の構築】

■8WAYランシステムについて

 8WAYランは主に攻撃を打たれる側が打つ側に対して回避行動などを行うための防御システムですが、単純にこの8WAYランによる回避性能を上げるだけでもある程度の防御的環境を構築することができます。

 シリーズ中で最も8WAYランの回避性能が高かったのはソウルキャリバー2(以下、SC2)ですが、SC2の8WAYランはイベイドシステムやアンジュレーションなどとの折り合いこそ悪かったものの、キャラ差を著しく緩和する防御システムとしては極めて有効に機能していました。もともと8WAYランはSCシリーズの目玉となるべきシステムなので、ラン性能の強弱の基準はSC2以前のそれを参考にしながら、多少アッパー調整くらいのバランスが望ましいと言えます。そしてラン性能をアップさせることは、キャラ差を緩和させる防御システムとしての役割を果たすだけでなく、後述する『立ち合いの攻防重視の環境作り』や『確反とリスク付け』にも大きく影響を及ぼし、目玉システムとなる8WAYランの存在感をプレイヤーへ強く訴えることで、よりキャリバーらしい攻防を実現するための一助となってくれます。

■インパクトシステムについて<追記>
 インパクトと言えばソウルエッジ時代からある代表的な防御システムですが、SC3以降その性能の弱化が目立ち、ジャストインパクトの実装などで相対的に攻撃側が有利な仕様となってしまい、残念ながら有効な防御手段として成り立ちにくいシステムとなってしまいました。

 しかし冒頭の【キャリバーのシステムバランスに対する基本的な考え方】の項の中でも述べた通り、キャラ差の緩和を図るには防御側を有利にするシステムや環境がどうしても必要になってくるので、こうした既存の防御システムの性能も改めて見直し、SC2以前のシリーズのインパクトの仕様を参考にしながらその性能の上方修正を試みるべきです。いくつか具体案を列挙すると、

・通常インパクトとジャストインパクトの性能の見直し
・インパクト失敗モーション硬直中のカウンターヒット扱いの修正
・インパクト発生フレームやインパクト周りの環境はSC2以前のシリーズに基づいた調整を加える

などが考えられます。インパクトというのは8WAYランシステムと並ぶSCシリーズの二大防御システムの一つなので、防御的環境の構築を目的とするに当たり、まずはこれらの伝統的な既存システムを用いた環境改善から始めなければなりません。

■立ち合いの攻防重視の環境作り
 武器格闘と素手格闘の決定的な違いと言えば、真っ先に挙げられるのが各キャラのリーチの長短の激しさです。もちろんこうしたリーチの長短から生まれる戦略の差異やそのぶつかり合いこそが武器格闘の醍醐味と言えるわけですが、中でもそれが一番顕著に現れるのが中距離の差し合いの攻防に他なりません。端的な例を挙げるとリーチの短いキャラであればいかに間合いを詰めるか、逆に長いキャラであればいかに相手を突き放して立ち回るかといったような攻防です。そしてこうした間合いありきの技術の応酬こそ、SC2以前のシリーズが目指した基本コンセプトであり、他の3D格闘と比べてラウンド開始時点の両者の立ち位置が遠いという点にも既にそれが表れています。

■起き上がりや受け身後の硬直復帰時間について
 前項で述べた中距離の差し合いの攻防を主戦場とするための環境作りを具体的にどう行うかについては、既に『8WAYランシステムについて』の項で述べた通り、まずは8WAYランの強化が肝要であり、合わせて起き攻めによるリターンやダメージチャンスの減少を図ることが不可欠となってきます。ただでさえ起き攻めというのは先述のような武器格闘の醍醐味となるべきリーチの長短から生まれる戦略の差異やぶつかり合いが生まれにくい土俵であり、同時にSCシリーズの最大の売りである8WAYランシステムが最も活躍する土俵こそ立ち合いの中での攻防に他なりません。これらの理由からSC2以前のシリーズは起き攻め周りの環境を防御側にとって非常にマイルドにすることでこの問題をクリアしてきました。

 具体的な例で言えば起き上がりや受身後の硬直フレームを他の3D格闘と比べてかなり短くしたり、ダウン状態からジャンプ攻撃が出せるなど、起き上がりの防御側の行動制限を少なくし、防御側をそれほど不利にさせないような環境を整えています。この起き上がり周りの環境については特にSC2の例が顕著であり、起き上がりや受け身後の硬直フレームの短さに加え、ダウン状態からの中下段インパクトをスムーズに出せる他、受け身確定(以下、受け確)なども著しく弱化させることで防御的環境の構築に努めています。ただし起き上がりの仕様や受け確を甘くする一方で、起き攻めをダメージ源とするキャラについても十分に活躍の余地を与えており、起き攻め重視のキャラに対してもうまく帳尻を合わせています。こうしたSC2の起き上がり周りの防御的環境作りは、稀に見るほどキャラ差を緩和させる方向へ有効に働いており、SC5以降のシリーズでも有用な判断材料として参考にすべきでしょう。

 対してSC3以降のシリーズの起き上がりや受け身周りの環境について、

「8WAYランを活かした立ち合いの攻防を主戦場とするバランスの実現」
「キャラ差を緩和する防御的環境の構築」

という二つの観点から考えた場合、やはりどちらも不十分と言わざるを得ず、ただでさえSC3以降に顕著になってきた受け確の強化や起き上がり・受け身後の硬直フレームの増加、さらにガード不能技などの使い勝手の向上のおかげで不必要に起き攻めのリターンやダメージチャンスばかりが増えてしまい、先に述べた『立ち合いの攻防重視の環境作り』の弊害となっているのはもちろんですが、後述する【確反と各種リスク付けについて】の中で述べる下段のリスク・リターンの問題も抱えているため、SC3以降のそれをキャリバーらしい攻防を実現する起き上がりの環境と呼ぶには大変難しい状況と言わざるを得ません。これらもまたSC2以前のシリーズを基準にしながら慎重に調整を加えるべきです。


【コンボを取り巻く環境について】

■キャリバーにおけるコンボの扱い

 まずコンボそのものについてSC2以前のシリーズの仕様上の特性を踏まえながら、SCシリーズにおけるコンボとはどういう特徴を持つのかというのを正確に捉えなければなりません。周知の通りSCシリーズには落ちたら即死というリングアウトシステムが実装されているため、鉄拳のように空中コンボを多段ヒットさせて長距離を運ぶようなものがあったとすれば、そのバランスは容易に崩壊を招きます。従ってSC2以前のシリーズのコンボの仕様はリングアウトを考慮し、ヒット数を抑え、さらにリングアウトへの対抗策として3D格闘の中では珍しく空中制御≠ニいう優れた防御システムまで実装されています。

 これらは皆、リングアウトとコンボとのバランスの帳尻を合わせた結果であり、SC2以前のシリーズにおけるコンボの仕様は一部の例外を除き、全体的に矛盾なくリングアウトシステムとの共存が図られています。逆に言えば多段ヒットさせて長距離を運ぶようなコンボは、リングアウトシステムがあるゲームには適さないということになります。

■スタンコンボと赤ヒットランカウンターの抱える問題
 SC3以降に実装された強力な攻撃システムであるスタンコンボに関して『キャリバーにおけるコンボの扱い』で述べた通り、コンボを取り巻くキャリバーの周辺環境を考えた場合、スタンコンボについてはリングアウトシステムとの共存を図ることが大変困難なため、削除が無難と言う他ありません。無駄に長距離を運ぶようなコンボがあってはならないというのは前項で述べた通りですが、あまつさえ空中コンボと違って方向制御すらできない状態で一方向へ運ばれてしまい、さらに回復不能スタンを狙える技を主力とするキャラも少なくないという現状がリングアウトとのシステム的矛盾に拍車をかけ、せっかく設けられた空中制御≠フシステム的役割すら否定していると言っても過言ではありません。

 そしてこれまたSC3以降、赤ヒット扱いとなったランカウンターもスタンコンボのコンボチャンスを増やす結果となってしまっており、その悪影響をさらに助長させる形で働いています。赤ヒットランカウンターというのは、単体でもキャラ差を助長させる余計な攻撃システムとなり得ますが、そこへスタンコンボが加わることで、システムの矛盾振りをさらに悪化させることになります。従ってランカウンターの仕様についてもSC2以前の仕様に戻すのが望ましいと言えます。

 仮にスタンコンボを存続させる方向での妥協案を述べるとすると、赤ヒットランカウンターの修正はもちろんですが、それに加えてシリーズ中最大の広さであったSC2以上にリングを広くし、合わせてリングの四方の内、三方向以上の壊れぬ壁のあるステージを増やすなどでバランスの帳尻を合わせることも可能だと思います。特にリングを広くすることに関しては自分は消極的ではありますが賛成の立場です。


【確反と各種リスク付けについて】

■確反の種類

 巷でよく言われる確反≠ニスカ確≠フ関係性を論じる場合、忘れてはならないのがこの二つのどちらも概念上は同じ性質の技術だということです。前者はガード硬直に攻撃を差し込み、後者はスカり硬直に攻撃を差し込むという程度の違いしかありません。ただしここではより議論の正確さを期するために、確反をフレーム上の確反<Xカ確を空間上の確反≠ニ呼び分け、区別して論じることとします。

■SC1のPVが明示した8WAYランシステムの果たす役割
 SC1から初めて実装された8WAYランシステムとは、一体どのような目的で以って作られたのかを考える場合、その手がかりとなるのがSC1のPVに見られる8WAYランについての紹介部分です。このPVの内容を吟味する限り、8WAYランの果たす役割とは相手の攻撃をスカすための防御システムであると同時に、そのスカ硬直を利用して反撃を加えることを目的とするべく作られており、それはそのままスカ確=空間上の確反≠取るために作られたシステムだと言い換えることができます。他にもこの8WAYランはリングを自在に走り回りながらいかに相手を追い詰めるか、あるいは追い詰められないように立ち回るかといった陣取りゲー的ゲーム性をももたらしていると言えるでしょう。

 そして8WAYランの果たす役割について「空間上の確反を取るために作られたシステムである」ということを念頭に置いた場合、この8WAYランを駆使しながら空間上の確反を取り合う差し合いの攻防の中にこそ、SCシリーズが目指すべきゲーム性が表れていると言えます。これについてSC1のPVの中では

「走る者が闘いを極める、走りが勝敗を分ける!!」

 と言った具合にプレイヤーへ強く訴えかけており、このことからもわかるように足を止めての打ち合いより8WAYランを用いた差し合い重視のバランスこそが、よりキャリバーらしい本来のゲーム性だと捉えることができます。ただし例外的に足が遅く差し合いの土俵に立つことができないキャラに対しては、SC2以前のシリーズの調整を分析する限り、自分から足を使って積極的に移動しなくても一方的に相手に届くような長リーチを持った時計・反時計を広くカバーする中段横斬り(以下、中横)や、構えを駆使した豊富な連携攻撃を該当キャラに装備させることで、辛うじて帳尻を合わせるなどの救済策が取られています。

■フレーム上の確反の扱いについて
 前項で述べた差し合い重視のバランスを実現するための環境作りで最も慎重にならなければならないのはフレーム上の確反についてです。各キャラの持つ技に対するリスク付けを考える場合、下手にフレーム上の確反ばかりを設けてしまうと足を止めてガードすることのリターンばかりが高くなってしまい、8WAYランを用いた空間上の確反に基づく差し合い重視のバランスの実現からは遠ざかってしまいます。従って各技のリスク付けに際してはフレーム上の確反を設けるのは最小限に留め、各技のリーチ・追尾性能・厚みなどを調整し、その内のどれかに明らかな穴を設けることで、防御側が8WAYランを用いて正解の穴を突いた場合に攻撃側が空間上の確反によって咎められるというような調整が望ましく、こうした調整こそ8WAYランを用いた攻防を下地とするSCシリーズに相応しいリスク付けと言えます。特にSC2以前の各技に対するリスク・リターンのことごとくは、こうした空間上の確反によるリスク付けに忠実に基づいたものでした。

■フレーム上の確反を設けるべき技の基準
 前項でも述べたようにフレーム上の確反を設けるのは最小限に留めるのが望ましいですが、その一方で「こういう技にはフレーム上の確反を設けなければならない」という最低限の基準も確かに存在します。それらの代表例をいくつか挙げるとするなら、発生が速く通常ヒットで相手がダウンする稲穂刈りのような強力な下段や、時計・反時計のどちらにも分厚い中横などです。SC2以前の基準で言えば、こうした技群は一部を除いてフレーム上の確反はもちろんのこと、いずれも極端にリーチが短かったり、発生が遅かったりするなどのペナルティを背負うことでリスク・リターンの帳尻を合わせています。

 しかし特にSC2以前のシリーズの下段のガード硬直については、稲穂狩りのような特殊なケースを除けば他の3D格闘と比べると全体的に驚くほどガード硬直フレームが短く、フレーム上の確反ダメージが安い傾向にあります。これは先記の『起き上がりや受け身後の硬直復帰時間について』の項の中でも述べた通り、相手をダウンさせてもそこまで防御側が不利にはならず、攻撃側から見ると下段を当ててダウンを奪っても起き攻めのリターンが少ないため、それに噛み合わせる形でのリスクの少なさであり、こうした調整こそSCシリーズにとって必要不可欠である防御的環境に立脚したリスク・リターンのバランス調整と言えるでしょう。

 加えて2Kに代表されるダウンを奪うことのできない下段については、その多くがガードされてもフレーム上の確反がないばかりか、ヒット時の有利フレームも全体的に大きい傾向にありましたが、これもまたダウンを奪える下段とのリスク・リターンの差別化を図りつつ立ち合いの攻防重視の環境作りにも一役買っていました。こうした下段の仕様は全てSCシリーズが目指すべき防御的環境に合致したバランスであり、なお且つ8WAYランを駆使した差し合いの攻防に奥深さを与える役割すら担っています。そしてこのようなSC2以前の下段のリスク・リターンのバランスもまた、SC5以降のシリーズへの有用な判断材料として参考にすべきなのは言うまでもありません。


【終わりに】

 以上の修正案は冒頭で述べた通りいずれもキャラ差の緩和を図るための防御的環境の構築と、SCシリーズの目玉となるべき8WAYランシステムを活かしたキャリバーらしいバランスの実現を目指すという理念のもとに記されています。また、これらは今年の8月頃から少しずつ書き溜めてきたものですが、この四ヶ月の間にSC5の試遊イベントなどもあり、先記の修正案の内、いくつか改善の見られたものもあるかと思います。

 この修正案を執筆するに当たり、SC2以前のシリーズがいかに防御的環境に基づくバランスを実現していたかということに改めて気付かされ、自分にとっても非常に得るものの大きい論考となりました。取り合えずこれらがSC5発売前の最終調整や発売後のバージョンアップ、さらにその後のシリーズの調整にも役に立つことがあれば幸いです。

2011.12.27 峰村パッド神